「なぁ、タケシ。まさか……」
「あぁ、俺もサトシと、それにミズカと同じ人物を描いてる」

サトシの言葉にタケシは答える。

「どういうこと？」
「僕達、全然……」

ハルカとマサトが二人に聞こうとすると、その人物は出てきた。タケシと同じような年齢の少年だ。

「逃げられるわけねぇだろ、チルタリス。全くチコリータを逃がしてとんだ失敗した俺なんだからよ。なあ、いつかのトレーナーさん」
「やっぱり……」
「チル……」

ミズカはギュッと拳を作った。チルタリスは心配そうな表情でミズカを見つめる。

「まさか、こんな所で会うとは。奇遇だな」
「まだ、そんなことやってたの？」

キッとミズカもエーフィも相手を睨みつけた。

「……前に、同じようなことがあった。傷ついて捨てられたチコリータがいたが、ミズカは助けたんだ。そのときにチコリータを捨てたトレーナーとミズカは対立した」

その言葉に驚いて、ハルカとマサトは目を見開き、タケシを見た。

「もしかして……、その時のトレーナーなの？」

ハルカが聞くとタケシは頷いた。

「あんときのピカチュウとそのトレーナーもいるのか……」

そう言われ、ピカチュウもサトシも睨みつける。

「オニドリル」
「オニー！」

最低トレーナーはオニドリルを出した。チコリータのときと同じだ。オニドリル……、嫌な記憶が蘇る。あのときミズカは、まだまだ初心者トレーナーだった。

チルタリスはミズカの後ろに隠れる。オニドリルに散々攻撃を受けていたらしい。

「エーフィ、よろしく！」

エーフィは頷くと、睨みつけるながら、オニドリルの前に立った。ミズカもエーフィも構える。

「お前、少しは強くなったみたいだな。オニドリル、あの女に向ってドリルくちばし！」

ミズカは、耳を疑った。本来、バトルでトレーナーを攻撃する指示は出さない。

しかし、じゃあ自分はバトルするつもりでも、相手はそうなのかというと意志を確認していない。ミズカは迂闊だったと思う。

「オニー！！」
「ミズカ！」

鋭いくちばしは、ミズカに凄まじい勢いと速さで突っ込んでくる。ミズカはチルタリスに当たらぬように、彼女にしがみつくように抱きしめた。

あのときより強くなっているのは向こうも一緒だ。とりあえず、自分の怪我だけで済めば、あとはサトシ達が何とかしてくれる。そう思う。しかし、ドリルくちばしはミズカに当たらることがなかった。