17章 泣き虫キルリア

「よし!」

ミズカは、その檻をすばやく取り、そこから、ピカチュウとエーフィを出した。

「いた~い、ジャリガールよくも……」
「そうだ、そうだ!」

ムサシと、コジロウはすばやく立ち上がるも、

「……エーフィ、金縛り!」
「フィー!」

と、エーフィの金縛りにより動きを封じられてしまった。

「あまいわね! ハブネーク、ポイズンテール!」
「あまいのは、そっちよ! キルリアの攻撃が続いてると言う事、忘れてるんじゃない?」

そう、キルリアの影分身はまだ続いている。マジカルリーフで一度は、分身をやめてしまったが、ミズカは檻をすばやく取ったときに指示を出していたのである。そして、キルリアの分身はハブネークとサボネアを囲んでいた。ハブネークが攻撃したキルリアは分身の物だったため、攻撃は当たらなかった。

「キルリア、ねんりきでこの二匹をロケット団にお返しして!」
「キル!」

キルリアは、ロケット団の方へ二匹を飛ばす。その瞬間、エーフィは金縛りを解いた。ロケット団と二匹は激突、再び吹っ飛ばされた。

「よーし、キルリア、マジカルリーフ! エーフィ、スピードスター!!」

キルリアと、エーフィの攻撃は命中。

「やな感じ~!!」

ロケット団は星になって行った。ミズカは拳を作りガッツポーズをする。

「キルリア、ありがとう! あなたのおかげで、エーフィもピカチュウも助けられたわ!」

ミズカは、キルリアの頭をなでた。キルリアは少し照れたようで顔を赤らめる。

「ピカピ!」
「ピカチュウ! 大丈夫、だったか!」

ピカチュウはサトシの胸に飛び込んだ。ミズカはそれを見て微笑む。

「キルリア、紹介してなかったね。この人達があたしの仲間!」
「キルキル」

キルリアは手を振る。

「そういえば、ミズカ。さっきなんか聞きたい事があるって言ってたよな?」

サトシが聞く。ミズカは、答えようとするのだが、

「それより、先にさっきの話してよ!」
「かもかも!」

と、マサトとハルカはさっきの話を聞きたいらしく、また妨げられた。

「あぁ、どこまで話したっけ?」
「自分の手持ちが手元にあるのがミズカだけだってとこまでかも!」

ハルカの言葉にミズカは目が点になる。自分が今、ロケット団とバトルしている間、この人達は何を話していたのだろうと思う。

「そっか、そこまでだったな。それで、ミズカはエーフィ1匹でロケット団に勝ったんだ」
「……それって、あのときの話?」

ミズカは記憶をたどり聞いた。もうミズカにとっては三年も前の話、このポケモン世界での出来事はほとんど覚えてるつもりだが、思い出すのに時間が掛かる。

「あぁ、ジョーイさんにステーキをご馳走してもらった日だ」

タケシが答える。

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