17章 泣き虫キルリア

「キルリア! 逃げちゃダメ! 逃げたら、さっきと同じ事になる」

ミズカが言うと、キルリアはさっきグラエナ達に追いかけられていた事を思い出した。自分は攻撃せず、ただ怖くて逃げていた。

「落ち着いて、今度は一人じゃない。あたしがいる!」

力強い言葉。そして安心させられるような言葉と表情。キルリアは、捕まったエーフィとピカチュウを見る。二匹とも、ミズカを信じて大丈夫と言う表情をして頷いた。それを信じ、キルリアの目つきは変わる。やっと、バトルをする気になったようだ。

「そちらからどうぞ!」

ミズカは少しホッとした。もし彼らが気球だったならば、確実にキルリアがバトル体勢に入る前に逃げられていただろう。

「ミズカ、大丈夫なの?」

マサトがサトシとタケシに聞く。いくらロケット団でも、ゲットしたばかりのポケモンとバトルとなると心配になる。しかも、ハルカとマサトはミズカがバトルをしたところを見たことがない。

「大丈夫だと思うぜ?」

ミズカとキルリアを見ながらサトシが言う。

「俺もそう思う。ミズカは昔、パートナーになったばかりの進化前のエーフィでロケット団に勝ったからな」

タケシも同感らしい。ちなみに、その時は、エーフィではなくイーブイだった。

「サトシ達は、援護とかしなかったの?」

ハルカがそう聞いている途中でバトルは始まった。

「ハブネーク! ポイズンテールよ!」
「サボネア! ミサイル針だ!」

その二の指示に、ハブネークと、サボネアは技を出す。

「キルリア、念力よ!」

ミズカは、キルリアに念力をするよう指示をする。ハブネークの動きとサボネアのミサイル針は途中で止まった。

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