17章 泣き虫キルリア

「この辺で少し休むか」

タケシが言うと、残りの四人は大賛成と言う顔をして頷いた。ミズカは、左の道に休める広さのがあった事を思い出す。

「たしか左に行くと、休める広さのスペースがあった!」

という事で、四人は左に進む。すると、ミズカの記憶通り、休める広さのスペースがあった。ミズカは荷物をほっぽり投げると、その場に仰向けになった。草の匂いが気持ちいい。木々の間から見える空も見ていてとても良い気持ちだ。

「気持ちよさそうだな!」
「ピカピカ!」

サトシはミズカの隣に座った。ピカチュウは、サトシの肩に乗っていたが降りて、エーフィと話始める。

「久しぶりだから……。エーフィも、皆に会えて嬉しそう」

ミズカは、起き上がりピカチュウと楽しそうに遊んでいるエーフィを見た。考えてみれば、エーフィも自分と同じくらい、サトシ達に会っていない。プラスルやマイナンもそうだ。そう思うと、ミズカはとても申し訳なかった。しかし、同時に、それでも、自分について来てくれてる自分のポケモン達にとても嬉しく、感謝している。

「ねぇ、ところで、サトシは今どの辺を旅してるの? あたし、最近、もとの世界でアニメ見られないからわからないんだよね。てか、ここホウエン地方?」

ミズカが言うと、サトシは苦笑した。

「ホウエン地方だぜ! それで、今俺達は、トウカジムを目指してるんだ」
「へぇ~、てことは、ハルカとマサトのお父さんとバトルするわけね!」
「あぁ! でもなんでアニメが見れないんだよ?」

サトシはごもっともな質問をする。ミズカは遊んでいるピカチュウとエーフィを見ながら、少し寂しそうに答える。

「あはは、塾なんだよね! 最近、塾行き始めて……、それがたまたま、ポケモンのアニメと重なっちゃったのよ」

ビデオを録画するにも『もう小学五年生でしょ! それにもうすぐ六年生よ! ポケモンなんて録画するのはやめなさい』などと、母親に言われてしまい、撮れない状況……。秘密で撮ろうとしても、なんせ三部屋しかないボロイ家すぐにバレる。

小学生はもう終盤、後一ヶ月ほどでもう六年生だ。きっと、次来たときは六年生で、もとの世界で十二歳になっているかもしれない。たしかに、この歳でポケモンは皆の話に出てこない。

「あ、そうそう、あたしサトシに聞きたいことが……」

危うく忘れそうになった。夢のことだ。
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