17章 泣き虫キルリア
一緒に歩いている、エーフィは、呆れた表情を見せる。なんで方向音痴なんだろう、自分の主人は……。そう思っているのだろう。ミズカはそんなエーフィを見て苦笑した。
最初は、そう思っていなかった。同じようなところが幾つもこの森にあるのだろう。そう思っていた。しかし、この木を三、四回見たところで、やっと、気づいた。同じ所をグルグル回っていることを。さっき、木につけたペンの文字がある。今度は、ポケットに入れた方位磁石を取り出し見てみる。
これは、ホウエン地方に着いた際、オダマキ博士がくれた物だった。しかし、この森には全く無意味なようで、針は北を指さず、あっちを指したりこっちを指したりしていて、使い物にならなかった。
「あ~! 北を指してよ!」
とうとう我慢の限界のようで、方位磁石に怒りをぶつける。無論、方位磁石は、まだ、あっちを指したりこっちを指したりしていて、北を指すことはない。それを見て、また深くため息をつく。
さっき捕まえたキルリアにも五回目に通った時に道を聞いたが、わからないといっていた。何故、こんな変な道に迷ってしまったのだろう。そんな自分が情けなくなる。いつもなら、とっくにサトシ達に会っているはずだ。しかし、いまだサトシ達は見つからず、気配すらもなかった。
――帰ろうかな。
そう思うが、帰る気にはなれない。いや、帰るわけには行かない。サトシに聞きたい事があるのだ。今回を逃してしまったら、またこの世界にいつ来れるかわからない。しかも、その時には、あの夢の事だって忘れてる気がした。
「よし!!」
という事で、もう一度、気合を入れて進む事にした。こんなところで迷っちゃいられない。そう思い、右の道に進もうと一歩進めた。
「あ! ミズカかも!!」
すると、大きな声が後ろから声がした。ミズカは振り向く。紛れもなくその声は、ハルカの声だ。そして、サトシ達が目に入る。
「久しぶり!!」
ミズカは笑顔でこれまた馬鹿でかい声を出して手を振った。サトシ達は、少し小走りでミズカの所まで来た。
「あ! また、この場所かも!」
ハルカは、ミズカがさっきから見飽きている大きな一本の木を指した。どうやら、この四人も迷っているらしい。
「まさか……、ハルカ達も?」
ミズカは木を見ながら聞く。そうなると、さっきから、入れ替えになっていた事になる。
「もって……ミズカも、迷ってたのか!?」
サトシのその言葉で決まった。ミズカは頷く。こんなにも、近くにいたのか、サトシ達は……。ミズカはそう思うと、帰らなくて良かったと思った。しかし、サトシ達に会えたからと言って、この森を抜けられる訳ではない。ミズカはやりきれない気持ちになった。
最初は、そう思っていなかった。同じようなところが幾つもこの森にあるのだろう。そう思っていた。しかし、この木を三、四回見たところで、やっと、気づいた。同じ所をグルグル回っていることを。さっき、木につけたペンの文字がある。今度は、ポケットに入れた方位磁石を取り出し見てみる。
これは、ホウエン地方に着いた際、オダマキ博士がくれた物だった。しかし、この森には全く無意味なようで、針は北を指さず、あっちを指したりこっちを指したりしていて、使い物にならなかった。
「あ~! 北を指してよ!」
とうとう我慢の限界のようで、方位磁石に怒りをぶつける。無論、方位磁石は、まだ、あっちを指したりこっちを指したりしていて、北を指すことはない。それを見て、また深くため息をつく。
さっき捕まえたキルリアにも五回目に通った時に道を聞いたが、わからないといっていた。何故、こんな変な道に迷ってしまったのだろう。そんな自分が情けなくなる。いつもなら、とっくにサトシ達に会っているはずだ。しかし、いまだサトシ達は見つからず、気配すらもなかった。
――帰ろうかな。
そう思うが、帰る気にはなれない。いや、帰るわけには行かない。サトシに聞きたい事があるのだ。今回を逃してしまったら、またこの世界にいつ来れるかわからない。しかも、その時には、あの夢の事だって忘れてる気がした。
「よし!!」
という事で、もう一度、気合を入れて進む事にした。こんなところで迷っちゃいられない。そう思い、右の道に進もうと一歩進めた。
「あ! ミズカかも!!」
すると、大きな声が後ろから声がした。ミズカは振り向く。紛れもなくその声は、ハルカの声だ。そして、サトシ達が目に入る。
「久しぶり!!」
ミズカは笑顔でこれまた馬鹿でかい声を出して手を振った。サトシ達は、少し小走りでミズカの所まで来た。
「あ! また、この場所かも!」
ハルカは、ミズカがさっきから見飽きている大きな一本の木を指した。どうやら、この四人も迷っているらしい。
「まさか……、ハルカ達も?」
ミズカは木を見ながら聞く。そうなると、さっきから、入れ替えになっていた事になる。
「もって……ミズカも、迷ってたのか!?」
サトシのその言葉で決まった。ミズカは頷く。こんなにも、近くにいたのか、サトシ達は……。ミズカはそう思うと、帰らなくて良かったと思った。しかし、サトシ達に会えたからと言って、この森を抜けられる訳ではない。ミズカはやりきれない気持ちになった。