2章 ポケモン達を救え!?

「二人とも、ここで頭冷やしてなよ」

とりあえず、サトシとカスミを二人だけにすることにした。ミズカは部屋を出る。

サトシとカスミはしばらく黙っていた。気まずくて何を話せばいいかわからないらしい。先に喋ったのはサトシだった。

「ごめん」

サトシが言ってから、少し間が開いて、やっとカスミも頭を下げる。

「あ、あたしこそ……、ごめん……」

その言葉を聞き、安心したサトシは、「な、仲直りしようぜ……?」と言った。カスミは頷く。

ドアの向こうでは、ミズカがホッと胸をなでおろした。

「やっと、仲直りしたわね……」

実は少しドアを開いて伺っていた。その横にタケシもいる。タケシはジョーイにアタックしてたのだが、ミズカは無理矢理引っ張って連れてきたのだ。ミズカとタケシは部屋に入った。

「仲直りできたみたいね」
「あぁ。まあな」
「ミズカ、タケシ。あんたたち、もしかして部屋の外で聞いてたの?」

そんな事をカスミに聞かれ、ミズカとタケシは苦笑した。カスミは二人の表情を見て怒ろうかと口を開いたのだが、

<<ボーン>>

ちょうど、ロビーから爆発音が聞こえた。

「なに?」
「行ってみようぜ!」

ミズカがロビーの方に目を向ける。行動が早いのはサトシだった。ロビーに向かって走っていく。ミズカ達もそれに続いた。

「ピカピー!!」

ロビーに着くと、預けていたピカチュウが縄で縛られていた。その縄はロケット団が持っている。

「ロケット団!」
「何なのよ……」

サトシとカスミが声を上げる。ロケット団は口角を上げると、口上を述べ始めた。

「なんだかんだと聞かれたら」
「答えてあげるが世の情け」
「世界の破壊を防ぐため」
「世界の平和を守るため」
「愛と真実の悪を貫く」
「ラブリーチャーミーな敵役」
「ムサシ!」
「コジロウ!」
「銀河を駆けるロケット団の二人には」
「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!」
「にゃんてにゃー!」

――しつこいわね、この三人……。

ミズカは心の中でそう思う。アニメで見て、知っているが、自分も当事者となるとなかなかのしつこさに呆れてしまった。

「ふっふーん、なんか今回はいい感じじゃない?」
「そうそう、ジャリボーイ達のポケモンはこの袋の中だからな!」

ムサシが嬉しそうに声を上げると、コジロウは手に持っているピカチュウの縄と、大きな袋を見ながら頷いた。どうやら、その袋にサトシ達のポケモンが入ったモンスターボールや他のトレーナーのモンスターボールが入っているらしい。

「くっ……」

サトシは悔しそうにした。どうにも手が出せない状況。どうすればポケモン達を盗まれないで済むのか。考える。サトシは周りを見渡せば、ほとんどのトレーナーがポケモンを預けている様子だ。

一方、ミズカはふと気づく。

――そういえば……、あたし、ジョーイさんにイーブイを預けてない……よね? あたしがやらなきゃ……。

イーブイのモンスターボールを確認する。預けていないイーブイがいる。自分はバトルを全くしたことがない。しかし、ここはサトシ達には頼れない。

ミズカはモンスターボールをギュッと握った。
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