17章 泣き虫キルリア

最初、このポケモン世界に来た時、アニメのサトシがいてピカチュウがいて……ビックリしたが、すごくワクワクした。初めてパートナーと顔を合わせたとき、初めてポケモンを捕まえたとき、初めてバトルした時、初めてバトルで勝ったとき、同じくワクワクして新鮮な感じだった。

――久しぶりにこんな気持ちになったな。

ミズカは雷が鳴っているにも関わらず、笑みが溢れた。やはり、ポケモンのことを考えるのが楽しい。そして、このポケモンをゲット出来たらなと思った。もちろん、今まで捕まえたポケモンは皆そうだ。ゲットしたいと思いゲットした。友達、仲間になりたくてゲットしたのだ。


「……キルリア?」

ミズカはキルリアを見る。キルリアは呼ばれ恐る恐る顔を上げた。

「あたしと一緒に……旅、しない?」

いつもの事だ。ポケモンを捕まえるのにバトルはあまりした事がない。ピチューの時だけである。あのときは、バトルをして捕まえてみたいという思いがあったからだ。別に、バトルをしなくても捕まえられた。こういう出会いで、ミズカはいつもポケモンを捕まえている。空はいつの間にか晴れ、太陽が二人を照らしていた。

「キルキル!」

キルリアは頷く。どうやら、一緒に旅をしてくれるらしい。ミズカは笑顔になる。そして、空のモンスターボールをコツンとキルリアに当てた。キルリアは、ボールに入り、ボールは手の中で揺れる。ボールの揺れが止まり、ミズカの手に収まる。ゲットだ。

「キルリア、これからよろしくね!」

ミズカはボールに話かけると、立ち上がり、再びポケモンセンターを探し始めた。

ミズカは、一本の大きい木を見て深くため息をついた。別に、この木がおかしいと言ってるわけではない。さっきから歩いていて、何度もこの木を見ているのだ。ようするに、ミズカは迷ってしまったという事である。

歩いても歩いても、最後にはどうグルッと回って来たのか、この一本の大きい木の前に戻ってくる。この木を境に二つの道に分かれているのだが、どっちをどういっても、この一本の木の前に出てしまう。

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