16章 仲間と夢と

「もうバイバイだね」

ニコッと笑ってイーブイに別れを告げた。サトシ達の所へ走っていく。

「ミズカ! サトシ! シゲル! 写真を撮ろう」

父親は子どもたち三人を並べると、大きな木の下で写真を撮った。

<<カシャ!>>

そのカメラの音がなった瞬間、ミズカはパチッと目を覚ました。ところどころ忘れているところもあるが、夢の中の二人の顔はハッキリと覚えている。

背中に汗がじんわり滲む。

「あれはたしかに、サトシとシゲルだったよね?」

確認するように呟く。そして、前にシゲルと会った時に言われた事を思い出した。

『僕が八歳の時、君と同じ名前の子と遊んだ事があるんだ。でも、その子は、三歳ぐらいだったけどね! あと、サトシもいたんだよ』

そう言っていた。シゲルは遊んではいなかったが、ちょうどこの夢と同じ内容だ。夢の中のサトシもシゲルも、十歳ではなく、もう少し小さかったように思う。

そして自分と同じ名前の子、ミズカと言う少女……。全く、同じだった。いや、妙にシゲルのこの話が気になってはいた。自分が、シゲルに会う前に見ていた夢の内容と全く同じだったからだ。

とても気になる。このことが本当なら、自分がポケモン世界に呼ばれた理由と何か関係してるのではないか、と……。しかし、今、聞ける人はいない。ポケモン世界には行けない。前の父親の居場所もわからない。

「なんだろう……」

ミズカはしばらくジッと考えていた。しかし、考えても考えても答えは出なかった。思い出せそうで思い出せない。本当にあったような夢……。いや、実際にあったのだろうとミズカは確信していた。

だったら、今聞けるのはサトシしかいない。今度、会ったら、聞いてみようとミズカは思ったのだった。
12/12ページ
スキ