16章 仲間と夢と
ミズカが、もとの世界に帰ってきて、数ヶ月が過ぎていた。
こないだは、トイレの中で30分は籠もっていたらしいが、親からは変に思われずに済んだ。
しかし、最近はアニメを見る時間もない。最近ミズカは、塾に行き始めた。それがポケモンアニメの時間と被ってしまい、観られなくなってしまっていた。
サトシ達が一体、どこで何をやってるのかサッパリわからない。
親が離婚しても何も変わらないのに、再婚だとこうも色んなものが変わるのか。ミズカは少し驚いていた。
そんな彼女はベッドの上。二段ベッドの下に自分の場所があり、すやすやと寝に入っていた。
辺りには木々が広がっていた。森なのか、林なのか。周りの木々はいつもより大きく見える。
――これ、前に見た夢……。
ジョウトを旅していたときに見た夢の光景。男の子二人がミズカの前に来た。前の夢と同じキャップを被った男の子に紫の服の男の子。
「君の名前は……?」
キャップを被った男の子がミズカの顔を覗きながら聞いてきた。前と違って、帽子の唾の影から、ハッキリと捉えることができた。
ミズカは目を見開く。その少年は、サトシだった。彼は楽しそうでも、嬉しそうでもない。ミズカに戸惑っている。どうしたら良いかわからない表情。少し泣きそうにも見えた。
「ミ……ジュカ……」
夢の中の自分が答える。前と口調は変わらない。どうやら、ミズカは幼いまま。舌っ足らずのままらしい。
サトシの表情は隠してはいるが冷たさを感じる。それが少し怖い。何故だかわからない。でも、このサトシには深く触れてはいけない。そんな風に思った。だからなのか、幼いミズカは半泣き状態だった。
「サトシ、泣かしてどうするんだい?」
もう一人の男の子が言った。木に寄り掛かり、腕を組んで、こちらとは距離を置いているように見える。紫の服の男の子を捉える。シゲルだ。ミズカは息をのむ。
なぜ、サトシとシゲルが幼い自分といるのだろうか。ミズカにはわけがわからなかった。
「別に、泣かすつもりは……」
戸惑うサトシはオドオドしていた。ミズカの知っているサトシはそこにいない。
それから、少しずつ二人に慣れたミズカは、少しずつ言葉数も増えていった。
「お兄ちゃん、あれなぁに?」
「あれは、ナゾノクサって言うんだ」
「ナゾノ……クサ?」
幼い自分はナゾノクサを知らないらしかった。辺りを見回せばポケモンたちがいる。しかし、どの子もみんな、幼いミズカは知らない。そして、好奇心に駆られて、せっかく楽しもうとしてもモヤモヤしていた。
キャップの子も、紫の子も楽しそうではない。表面上、笑ってはいるが、自分に気を遣っているように見える。そのうえ何を察知しているのか、ミズカの胸がチクッと痛んだ。
こないだは、トイレの中で30分は籠もっていたらしいが、親からは変に思われずに済んだ。
しかし、最近はアニメを見る時間もない。最近ミズカは、塾に行き始めた。それがポケモンアニメの時間と被ってしまい、観られなくなってしまっていた。
サトシ達が一体、どこで何をやってるのかサッパリわからない。
親が離婚しても何も変わらないのに、再婚だとこうも色んなものが変わるのか。ミズカは少し驚いていた。
そんな彼女はベッドの上。二段ベッドの下に自分の場所があり、すやすやと寝に入っていた。
辺りには木々が広がっていた。森なのか、林なのか。周りの木々はいつもより大きく見える。
――これ、前に見た夢……。
ジョウトを旅していたときに見た夢の光景。男の子二人がミズカの前に来た。前の夢と同じキャップを被った男の子に紫の服の男の子。
「君の名前は……?」
キャップを被った男の子がミズカの顔を覗きながら聞いてきた。前と違って、帽子の唾の影から、ハッキリと捉えることができた。
ミズカは目を見開く。その少年は、サトシだった。彼は楽しそうでも、嬉しそうでもない。ミズカに戸惑っている。どうしたら良いかわからない表情。少し泣きそうにも見えた。
「ミ……ジュカ……」
夢の中の自分が答える。前と口調は変わらない。どうやら、ミズカは幼いまま。舌っ足らずのままらしい。
サトシの表情は隠してはいるが冷たさを感じる。それが少し怖い。何故だかわからない。でも、このサトシには深く触れてはいけない。そんな風に思った。だからなのか、幼いミズカは半泣き状態だった。
「サトシ、泣かしてどうするんだい?」
もう一人の男の子が言った。木に寄り掛かり、腕を組んで、こちらとは距離を置いているように見える。紫の服の男の子を捉える。シゲルだ。ミズカは息をのむ。
なぜ、サトシとシゲルが幼い自分といるのだろうか。ミズカにはわけがわからなかった。
「別に、泣かすつもりは……」
戸惑うサトシはオドオドしていた。ミズカの知っているサトシはそこにいない。
それから、少しずつ二人に慣れたミズカは、少しずつ言葉数も増えていった。
「お兄ちゃん、あれなぁに?」
「あれは、ナゾノクサって言うんだ」
「ナゾノ……クサ?」
幼い自分はナゾノクサを知らないらしかった。辺りを見回せばポケモンたちがいる。しかし、どの子もみんな、幼いミズカは知らない。そして、好奇心に駆られて、せっかく楽しもうとしてもモヤモヤしていた。
キャップの子も、紫の子も楽しそうではない。表面上、笑ってはいるが、自分に気を遣っているように見える。そのうえ何を察知しているのか、ミズカの胸がチクッと痛んだ。