2章 ポケモン達を救え!?

「はい! もしもし……、あらサトシじゃない! 元気にしてた?」

ハナコはサトシだとわかるとすぐに笑顔になった。

「元気、元気!でさ、新しい友達ができたんだ!」
「その隣にいる子ね!」
「初めまして。ミズカです!」
「初めまして!」

ハナコは、微笑んだ。少しの間、会話をしたところで、ハナコがハッとする。

「そういえば、オーキド博士には電話したの?」
「うん。もうした」
「そう。それなら良かったわ。体には気をつけるのよ」
「わかってる」
「それじゃ、切るわよ」
「うん、じゃあね!」

サトシが頷くと、ハナコは通話を切った。ミズカは画面を見つめながら、サトシの母もそういえば料理上手だったな、と思う。いつか食べてみたいな、などと呑気なことを考えだ。

ミズカとサトシは、ロビーの椅子に座って待っていたカスミとタケシのところへ行く。早速、リュックから手鏡を出してみた。

ボタンを押して見るが、反応はない。

「あー、帰れない……。いったい、どうやったら帰れるのかな……、博士は簡単って言ってたけど……」

そう言いながら、何度もボタンを押す。ボタンを長押ししたり、三三七拍子のリズムで押したりと、わけのわからないこともしてみたが、反応するわけがなかった。

「大丈夫だって、いつか帰れるよ!」

サトシが言った。

「いつかって……」
「まったく、サトシはいつも適当なんだから……」

カスミは呆れたようにため息をついた。サトシはミズカの気持ちなど知りもしない。今は、いつかと言われてもそこまで気にしないが、カスミは少し気にしたようだった。

「適当って何だよ!」
「ま、お子ちゃまは人の気持ちがわからないからしょうがないか」
「始まったよ……」

ミズカはボソッと言った。アニメでよく見る二人のケンカ……。それがここに来てから、二回目である。多少、自分が引き金になった罪悪感を抱いた。

「カスミだってお子ちゃまだろ!」
「あんたと一緒にしないでよ!!」
「なんだと!」
「なによ!!」
「いい加減やめたら……? ここロビーだよ……」

ミズカはヒートアップする前に間に入った。サトシとカスミは、ハッとして周りを見る。今の大きな声でのケンカで注目の的になっていた。二人は恥ずかしくなって下を向く。

「部屋に戻ろう。ね?」

ミズカはそう言って、借りた部屋に二人を連れて行った。

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