16章 仲間と夢と

「ミズカ、来てたのか。カスミ達が心配してたぜ!」

今のサトシの言葉で、ミズカの疑いは晴れた。

「てことは、本当に……」

警備員は額に汗が滲んでいた。

「セーラ姫、入ってもいいですか?」

警備員に疑われるのは仕方がない。中に入れさえすればいいミズカはセーラ姫に聞く。

「もちろん、良いですわ!」

ミズカが聞くとセーラ姫は微笑みながら言った。

「どういうことだ?」
「後で話す。セーラ姫、警備員さん、ありがとうございます!」

サトシは状況を、さっぱりわからないでいた。ミズカはセーラ姫にお辞儀をして、はてなマークを頭につけたサトシを引っ張って中に入った。

ミズカは焦っていた。親が家にいる状態で、この世界に来たのだ。時間がない。夜のうちには……、いや、2時間くらいでもとの世界に戻らないと、さすがに心配でトイレを開けられる。

「で、どうしたんだ?」

サトシが聞く。

「ハンゾウの手下かもしれないって言われて入れなかったの」
「警備も凄い事になってるんだな」
「うん。ハンゾウが捕まったのに、これじゃ辛いもんがある……」

ミズカはため息をついた。サトシはミズカがアニメで一連の事件を見ていたことがわかって苦笑する。そして、急にサトシは止まった。

「ここ?」

ミズカとサトシの前には大きな扉があった。この中にカスミ達がいる。サトシは扉を開けた。ミズカは面白がって、扉の横に隠れる。

「ただいま」
「サトシ、遅かったかも!」
「もしかして、道に迷った?」

サトシならありえないこともない。ハルカとカスミはクスクス笑う。カスミ達からミズカは見えない。ミズカも隣で声出さずに笑っていた。

「馬鹿にするな!」

サトシは怒る。

「まぁいいじゃない! 何かあったわけ?」

カスミは適当に誤魔化して、話を変えた。

「あたしのせいで、サトシは遅かったの!」

ミズカは扉からひょこっと顔を出した。

「ミズカ!」

カスミ達は目を見開いて声を上げた。タケシは、ミズカの事だから来るだろうと思ってたため、とくに普通だったが。

「な、来るって言っただろ?」
「何? その表情は……。もしかして、来ないと思ってた?」

威張るサトシに笑いながら、ミズカはカスミを見た。カスミは素直に頷いた。

「まったく、カスミが来るとなれば、忙しくても来るよ!」

ミズカはそう言って微笑んだ。カスミはミズカが少し大きく見える。少し大人になった……。なんだかそう思えた。
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