16章 仲間と夢と

あれから、ミズカの世界では数ヶ月経った。あれ以来、ミズカはポケモンの世界に来ていない。しかも、ミズカはもとの世界で11歳、5年生だ。そして、今日、とうとうカスミがホウエン地方に来た。

「カスミ凄いかも!」

これはハルカの声である。

「たしかに! あの必殺技はすごいよ!」

マサトも興奮しながら言う。カスミは苦笑した。

必殺技とは、タケシの暴走中に耳を引っ張るという技の事。ここはミラージュ王国の城、今日久しぶりにカスミは、サトシ、タケシと再会し、ハルカとマサトに初めて顔を合わせた。しかし、もう一人再会してない人物がいた。

「ミズカ、遅いよな……?」

サトシが言った。夜、夕食を食べた後だった。そして、サトシが言った人物、ミズカがまだ会ってないカスミの親友である。

「ミズカ来ないかもしれないわ……。忙しいって言ってたから」

カスミは寂しそうな表情で言った。ミズカの事情はよく知っている。いくら本人が来たいと思っても、来られるような内容ではない。

「そういえば、あたし達もミズカにしばらく会ってないかも」

ハルカは考えるように天井を見上げた。

「だったら、来ないんじゃ……」

マサトが余計な事を言う。カスミは俯く。久しぶりに会いたい。ミズカがこの世界に住んでいたら、あるいは、すぐに再開できたのだろうか。

こんなセンチメンタルになっているのは、きっと、トゲチックと別れたから。同じ世界でも、会えなくなることがあるのだ。ミズカだったら尚更会えない。

「ミズカなら、来るだろう」

そんなカスミを見てタケシが言った。

「そうだぜ、カスミ! ミズカなら来るって!」

サトシもカスミを元気づけるように言う。サトシ達は、ミズカの来られない事情を知らない。

「俺、ちょっとトイレ行って来る」

何の事情も知らないサトシは、呑気に部屋を出て行った。

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