15章 プラスルとマイナン!
カスミは、ミズカがどうするのかを聞きたくて、話を待った。するとミズカは、少し躊躇いながら、ボソリと呟いた。
「カスミ……。あたし勇気が出ない」
それは思ってもみなかった言葉だった。あのミズカから勇気が出ないと言う言葉が出たのだ。カスミからすればありえないことだった。
「あんたから勇気が出ないって言葉……、聞くと思わなかったわ……」
カスミは素直に思った。勇気……。ミズカにはいつもあるはずのものだ。それが出ない。
「だってさ、あたしどうすればいいかわからないし……。自分でもわけがわからないよ。そりゃ、聞かれてるから言わなくちゃって思うけど……」
「そんなに、言いたくないわけ?」
「だって、あたしは変わってないのに、変わったみたいじゃん。……あたしが住んでる世界に来ればわかるよ」
ミズカはため息をつきながら言った。そう、もとの世界はこの世界と違うのだ。世界が違えば、世界の色と言うものも違ってくる。
サトシ達は何も思わないかもしれない。さらっと受け入れてくれるかもしれない。それでも、ミズカの考えはどうしても向こうの世界が基準になる。
母には夜に仕事をしていることは一切言うなと言われた。世間がどう見るかわからないからとも言われた。離婚だって、再婚だってそう。どう見られるかわからない。
自分が住んでいる世界でそうなのだ。ポケモン世界はどうなのかわからない。
それに、一方的に自分はサトシ達についてきているだけなのだ。サトシ達が実際にどう思っているかわからない。来られないなら来られないで仕方ないと言われてしまったら……、それもミズカは嫌だった。
「まだサトシ達には言わないで……」
「わかったわよ。あんたが言うならあたしは黙ってるわ」
カスミは優しくミズカに言った。ミズカはカスミの器の大きさに心が温まる。
「でもね、必ずあの時の約束は守るから!」
ミズカはやっと顔を上げた。約束とは、ミズカがホウエンに旅立つ前の話である。
『もしカスミがホウエン地方に来たら、どんなに忙しくても絶対にカスミに会いに行く!』
カスミがハナダでジムリーダーをすることを知り、そう約束をしたのだ。これは本気だった。その日に親がいようといまいと、この約束だけは守るつもりだ。
「えぇ、でも無理はしないようにね。サトシ達に何か聞かれたら、ミズカは忙しいって言っとくわよ」
「ありがとう」
「それじゃ」
二人はそう言うと同時に受話器を置いた。ミズカはホッと息をつく。少し安心した。この世界に自分をわかってくれる人が一人でもいる。それだけで心強い。ミズカはサトシ達が寝る部屋へと戻って行った。
「ごめん。しばらく来られない」
翌日、いつ母親が帰るかもわからず、早めに帰ることにした。ミズカは仲間たちが首を傾げる中、もとの世界に戻って行った。
「カスミ……。あたし勇気が出ない」
それは思ってもみなかった言葉だった。あのミズカから勇気が出ないと言う言葉が出たのだ。カスミからすればありえないことだった。
「あんたから勇気が出ないって言葉……、聞くと思わなかったわ……」
カスミは素直に思った。勇気……。ミズカにはいつもあるはずのものだ。それが出ない。
「だってさ、あたしどうすればいいかわからないし……。自分でもわけがわからないよ。そりゃ、聞かれてるから言わなくちゃって思うけど……」
「そんなに、言いたくないわけ?」
「だって、あたしは変わってないのに、変わったみたいじゃん。……あたしが住んでる世界に来ればわかるよ」
ミズカはため息をつきながら言った。そう、もとの世界はこの世界と違うのだ。世界が違えば、世界の色と言うものも違ってくる。
サトシ達は何も思わないかもしれない。さらっと受け入れてくれるかもしれない。それでも、ミズカの考えはどうしても向こうの世界が基準になる。
母には夜に仕事をしていることは一切言うなと言われた。世間がどう見るかわからないからとも言われた。離婚だって、再婚だってそう。どう見られるかわからない。
自分が住んでいる世界でそうなのだ。ポケモン世界はどうなのかわからない。
それに、一方的に自分はサトシ達についてきているだけなのだ。サトシ達が実際にどう思っているかわからない。来られないなら来られないで仕方ないと言われてしまったら……、それもミズカは嫌だった。
「まだサトシ達には言わないで……」
「わかったわよ。あんたが言うならあたしは黙ってるわ」
カスミは優しくミズカに言った。ミズカはカスミの器の大きさに心が温まる。
「でもね、必ずあの時の約束は守るから!」
ミズカはやっと顔を上げた。約束とは、ミズカがホウエンに旅立つ前の話である。
『もしカスミがホウエン地方に来たら、どんなに忙しくても絶対にカスミに会いに行く!』
カスミがハナダでジムリーダーをすることを知り、そう約束をしたのだ。これは本気だった。その日に親がいようといまいと、この約束だけは守るつもりだ。
「えぇ、でも無理はしないようにね。サトシ達に何か聞かれたら、ミズカは忙しいって言っとくわよ」
「ありがとう」
「それじゃ」
二人はそう言うと同時に受話器を置いた。ミズカはホッと息をつく。少し安心した。この世界に自分をわかってくれる人が一人でもいる。それだけで心強い。ミズカはサトシ達が寝る部屋へと戻って行った。
「ごめん。しばらく来られない」
翌日、いつ母親が帰るかもわからず、早めに帰ることにした。ミズカは仲間たちが首を傾げる中、もとの世界に戻って行った。