15章 プラスルとマイナン!
皆が寝静まった頃。ミズカはむくりと起き上がった。久しぶりに眠れない。
理由はわかっている。もしまた帰ったら、いつ来られるかわからないからだ。ミズカはもとの世界の生活が変わると、ポケモン世界での自分の生活まで変わると思っていなかった。
ポケモン世界が好きだ。
でも、自分は所詮、違う世界の人間。来られなくなることもある。来られなくなったら? サトシ達はどう思うのだろう。いつか忘れられてしまうのだろうか。
急に不安になった。気がつけば、夜中の12時にも関わらず、テレビ電話の前。手が冷えたように感じながら、おそるおそる番号を押す。
「どうしたわけ?」
カスミはミズカからの電話にすぐに出た。カスミは夜中に掛けたにも関わらず、怒っていなかった。怒られると思ったが、カスミは至って普通。ミズカは首を傾げた。
「あれ? 怒らないの?」
「あんたねぇ、それはあたしに怒られたいわけ?」
「いいえ……」
ミズカは苦笑した。
「もとの世界で何かあったの? サトシ達が何日も来てないって言ってたわよ?」
どうやらサトシと連絡を取っていたらしい。随分来ていないことに心配されている。
「両親のことね?」
向こうの世界で何かあったとすれば、きっと両親のことだとカスミは思っていた。わかっていたからミズカがこんな時間に電話をしても怒らなかったのである。
ミズカは頷いた。そして、ミズカはおずおずと話し出す。
「今、お母さんとお母さんと付き合ってる人と弟と、あたしの四人で暮らしてる……。それはいいんだけど……。あたし、前にお母さんが夜働いてるから夜に来てるって言ったでしょ?」
「えぇ」
「でも、四人で暮らすようになってからお母さん仕事辞めちゃって……。来るに来れない状況なの。いつも夜に行ってたから」
ミズカは俯く。本当はポケモン世界に行きたくて仕方がない。昼に行ければ良いのだが、ミズカには門限がある。15時に帰って、17時には家に帰らないとならない。
短いともとの世界で1時間以内に帰れる場合もあるが、大抵は2時間から3時間かかる。こないだホウエンまで行くときは、1週間くらい滞在していたからか、5時間近く経っていて、流石に焦った。
だから、夜しかない。門限がなければ、と思うが、母親が厳しすぎて、門限をなくしてもらうのは無理だ。
「サトシ達にはまだ言ってないの?」
「言ってない」
ミズカは首を横に振る。
「でも言わないと……」
「うん」
それっきり話は止まった。二人は黙ったままだ。カスミだって、今までの生活は一変した。でも、この空の何処かでサトシやタケシがいる。出会った人たちがいる。いつか会えると考えられる。
しかし、ミズカは同じ空に繋がっていないことの方が多い。そこに隔たりを感じているなら、カスミはちゃんと彼らに話すべきだと思った。
理由はわかっている。もしまた帰ったら、いつ来られるかわからないからだ。ミズカはもとの世界の生活が変わると、ポケモン世界での自分の生活まで変わると思っていなかった。
ポケモン世界が好きだ。
でも、自分は所詮、違う世界の人間。来られなくなることもある。来られなくなったら? サトシ達はどう思うのだろう。いつか忘れられてしまうのだろうか。
急に不安になった。気がつけば、夜中の12時にも関わらず、テレビ電話の前。手が冷えたように感じながら、おそるおそる番号を押す。
「どうしたわけ?」
カスミはミズカからの電話にすぐに出た。カスミは夜中に掛けたにも関わらず、怒っていなかった。怒られると思ったが、カスミは至って普通。ミズカは首を傾げた。
「あれ? 怒らないの?」
「あんたねぇ、それはあたしに怒られたいわけ?」
「いいえ……」
ミズカは苦笑した。
「もとの世界で何かあったの? サトシ達が何日も来てないって言ってたわよ?」
どうやらサトシと連絡を取っていたらしい。随分来ていないことに心配されている。
「両親のことね?」
向こうの世界で何かあったとすれば、きっと両親のことだとカスミは思っていた。わかっていたからミズカがこんな時間に電話をしても怒らなかったのである。
ミズカは頷いた。そして、ミズカはおずおずと話し出す。
「今、お母さんとお母さんと付き合ってる人と弟と、あたしの四人で暮らしてる……。それはいいんだけど……。あたし、前にお母さんが夜働いてるから夜に来てるって言ったでしょ?」
「えぇ」
「でも、四人で暮らすようになってからお母さん仕事辞めちゃって……。来るに来れない状況なの。いつも夜に行ってたから」
ミズカは俯く。本当はポケモン世界に行きたくて仕方がない。昼に行ければ良いのだが、ミズカには門限がある。15時に帰って、17時には家に帰らないとならない。
短いともとの世界で1時間以内に帰れる場合もあるが、大抵は2時間から3時間かかる。こないだホウエンまで行くときは、1週間くらい滞在していたからか、5時間近く経っていて、流石に焦った。
だから、夜しかない。門限がなければ、と思うが、母親が厳しすぎて、門限をなくしてもらうのは無理だ。
「サトシ達にはまだ言ってないの?」
「言ってない」
ミズカは首を横に振る。
「でも言わないと……」
「うん」
それっきり話は止まった。二人は黙ったままだ。カスミだって、今までの生活は一変した。でも、この空の何処かでサトシやタケシがいる。出会った人たちがいる。いつか会えると考えられる。
しかし、ミズカは同じ空に繋がっていないことの方が多い。そこに隔たりを感じているなら、カスミはちゃんと彼らに話すべきだと思った。