気がつくと、目の前には久しぶりの景色が広がっていた。目の前に広がる緑色の景色を見て、ミズカは深く深呼吸をする。そして、久しぶりに自分のポケモンをボールから出す。それは実の気持ちの良いことだった。

同時に、もとの世界に帰るとまたしばらく会えなくなる事を悔やんだ。しかし、この世界ではあまり時間が経っていない。エーフィは久しぶりと言う顔をしているが、この間、来た時に捕まえた、プラスルとマイナンは普通な感じだ。ミズカは、ポケモン達を引き連れ歩き始めた。歩いていると、すぐポケモンセンターがあった。

中に入ると、サトシ達はポケモンセンターの中で休んでいた。タケシはいつも通り、懲りずにジョーイさんにナンパしていた。カスミがいないことで、耳も引っ張られずにのびのびとナンパしている。

ミズカはそれを見てため息をついた。変わらぬポケモン世界での日常だ。

「あ！　ミズカ！　何やってたのさ！」
「かもかも！　前は毎日のように来てたってサトシとタケシが言ってから、楽しみに待ってたのに！」

ミズカがポケモンセンターに入ってくるなり、マサトとハルカは責めるようにそう言った。たしかに、ミズカはジョウ
ト地方を旅していたとき毎日のように遊びに行っていた。

最低でもこっちの世界じゃ、三日くらいしか経っていないで遊びに来ていた。しかし、今回は最低十日は経っている。そこにサトシも参戦して来た。

「心配したぜ？　何やってたんだ？」

当然だろう。今まで、毎日のように来ていた奴がいきなり来なくなったのだから……。

「あたしが最後に来てからどれくらい経ってる？」

ミズカはサトシに聞いた。サトシに心配されるくらいだ。おそらく十日どころではない。

「三週間……だっけ？」
「あっ、そう……」

ミズカはサトシから、三週間と聞いてため息をついた。自分はそんなにこっちの世界に来ていなかったのかと思うと、何故か悲しくなる。

「なんかあったの？」

ハルカが聞く。

「え……」

ミズカは思わず言葉が詰まった。両親が離婚したからなんて軽々しく言えるはずがない。

「ち、ちょっと忙しくてね！　ほら、足のこともあったし……！」

ミズカはそう言って誤魔化す。サトシとハルカは納得はしていないが、色々あったのだろうと思い、それ以上ミズカには問わなかった。

「本当にそうなの？」

マサトはメガネをきらめかせミズカに聞く。ミズカはただ笑うしかなかった。この世界でも、両親の離婚の事をを知っているのは親友のカスミぐらいである。

サトシにも、タケシにも話した事がない。

「ミズカ、どうなの！？」

マサトはどんどんミズカに迫る。

「本当に、忙しかったんだって……」

ミズカの声のトーンはどんどん下がっていく。果たしてこれを忙しいと言っていいのだろうかと不安になっていくのだった。

「ま、マサト……。ちょっと、外に出てみたら？　珍しいポケモンとかいるかもしれないよ？」

ミズカは無理矢理に話題を変えた。

「そうだね！　僕、ちょっと行って来るよ！　ミズカ、エーフィ借り手も良い？」
「いいわよ！」

ミズカはホッと息をなで下ろした。マサトは、エーフィを連れてポケモンセンターの外に出て行く。そんな安心をしているミズカを見て、首を傾げるサトシとハルカであった。