「ピカチュウを使ったって無駄だよ！　嘘なのバレバレ！」
「でも、ピカチュウがすぐに乗るとも思えないかも！」

マサトはピカチュウが頷いても尚も信じようとしないが、ハルカは少し信じ始めていた。ここまで言われたら、というのもある。

そのとき、彼らの背後からピカチュウ目掛けてクレーンが飛んできた。

「ピカ！？」

クレーンのアームが素早くピカチュウを掴んだと思ったら、そのままピカチュウは持ち上げられていく。

「な、なんだ？」

サトシがピカチュウの連れされた方向を見上げると、いつものロケット団のムサシ、コジロウ、ニャースが出てきた。二人と一匹は、ホウエン地方に来ても尚、サトシのピカチュウを狙っている。そして、いつものように登場セリフを言う。

「なんだかんだと聞かれたら」
「答えてあげるが世の情け」
「世界の破壊を防ぐため」
「世界の平和を守るため」
「愛と真実の悪を貫く」
「ラブリーチャーミーな敵役」
「ムサシ！」
「コジロウ！」
「銀河を駆けるロケット団の二人には」
「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ！」
「にゃんてにゃー！」
「ロケット団！」
「今日こそピカチュウゲットでチュウ！」

そう言いながら、ピカチュウを檻の中に入れた。ピカチュウは電撃を放つがいつものように帯電式になっていた。高笑いしながら、ニャース気球に乗って逃げていく。

「スバメ！　君に決めた！」

サトシは最近ゲットしたスバメを出した。スバメは気球を破る。いつもなら、そこで気球が落ちて、ピカチュウを助けられていたのだが。スバメが気球のバルーンを破いた刹那、強風が吹いた。気球は揺れ、ムサシは持っていたピカチュウの檻を気球の外へ放り投げてしまった。

「ピィーカ～！」

ピカチュウは落ちて、森のどこかへ消えてしまった。サトシ達はロケット団の気球が落ちた場所へ行くと、ロケット団は立て直すのが早く、もう気球から脱出していた。

「ジャリボーイ！　あたし達は勝手にピカチュウ探すからね！」
「お前達も勝手にやっとけ！」

ムサシとコジロウはそう言って、ニャースとともに走って消えてしまった。

「俺達も探すぞ」

サトシ達も二人ずつに分かれてピカチュウを探しに行った。