その頃、サトシやピカチュウ達は……、仲間を増やして次の町へ。カナズミシティを目指してきた。

「へぇ～、あたしカスミっていう子と旅したかったかも～！」

今の声はハルカ。最近サトシ達の仲間に加わった新米トレーナーである。ホウエン地方、ジムリーダーのセンリの娘だ。　変わった髪型で赤いバンダナをしている。

「お姉さん達の代わりにジムリーダーなんてすごいや！」

この声は、ハルカの弟マサトである。マサトもサトシ達の仲間に加わっていた。子供なのに割りとしっかりしている。

そんな新たに仲間に加わったハルカとマサトは、旅の先輩に、これまでの旅について聞いていた。今は、サトシもタケシもそれに答えているところだ。

「ミズカって人は、どんな人なの？」

マサトが聞いてくる。

「サトシに似てる奴だな」
「似てるって何が？」

タケシの言葉にハルカが聞く。

「性格だ」

タケシの端的な答えにサトシは苦笑している。よく言われているせいか。最近は自分でもミズカと似ているんだろうな、と思うことがある。

「へぇ、そうなんだ！　で、今その子はどこにいるの？」

ハルカは興味津々、マサトもそうだった。カスミがなぜここにいないのかは、ジムリーダーをやることになったという話で理解できた。

しかし、ミズカの話はしっかりと聞いていない。

「ん～。なんていうか、別の世界だよなぁ？」

サトシがタケシに聞く。なんて答えていいかわからなかったのである。

「そうだな」

タケシは頷いた。

「ちょっと！　ふざけないでほしいかも！」
「そうだよ！　そんな世界あるわけないじゃん！」

適当なことを言われたと思ったハルカとマサトは口を尖らせた。もちろん、ハルカとマサトは信じるわけがなかった。

「で？　どこに住んでるの？」

ハルカはもう一度聞く。サトシとタケシは困った表情を浮かべた。

「何よ。二人とも隠しちゃって。今すぐ、会わせてよ」
「そんな無茶な……。あ……、でもミズカ、そろそろ来てもおかしくないよな？」

サトシは肩に乗っているピカチュウを見た。そういえば、とサトシは思う。タケシからは、ミズカがホウエン地方に来るらしいことを聞いている。

ピカチュウもしばらくミズカとエーフィに会っていないことを考えると、そろそろ来るだろうと頷いた。

「そういえばそうだな。しかもミズカの性格ならハルカとマサトに会いに来るだろう」
「どういうこと？」

タケシがハルカとマサトを見る。あの好奇心旺盛の塊が、仲間が加わったのを知れば、すぐに飛んでくるだろう。

「俺達のことがアニメでやってるんだっけ……？　な、タケシ？」
「あぁ」
「またありえない話をしてるし……」

想像の範疇を超える話。そんなわけはないだろう。そう思って、マサトは呆れた顔を見せる。

「ありえるんだって！」
「ピカピカ！」

ピカチュウはその通りという顔をして答えた。