「う～ん、いい気持ち！　エーフィ、気持ちいいね！」

この少女、ミズカは、新たな一歩を踏み入れた。

「フィー！」

ミズカも相棒のエーフィも気持ちよさそうに深呼吸をした。
ここはホウエン地方、これからミズカが旅をする地方である。

「さて、まずはミシロタウンのオダマキ博士の所に行って、サトシ達がどこの方向へ行ってたのか教えてもらわなきゃね！」
「フィ！」

サトシと会わない日がこんなに開くことは今までなかった。ミズカにとっては、仲間たちがいたほうが楽しい。だから、サトシとピカチュウを追いかけてきた。

「よーし！　レディーゴー！」

こうして、ミズカは新たな一歩を力強く踏み出しミシロタウンへと走って行く。オダマキ博士の研究所には一時間弱で着いた。

ピンポーンとインターホンを鳴らした。すると、ゆっくりとドアが開く。中から、三十代半ばでちょっと太った男の人が出てきた。この人がオダマキ博士である。

「はじめまして、ミズカです」
「君がミズカちゃんだね。いや～、もうすぐ来ると思ってたよ。オーキド博士から、連絡があったからね」
「そうなんですか！」
「まぁね、すぐにサトシ君たちを追いかけるのかい？」
「はい！」
「そうか……。それじゃあ、この地図と方位磁石を持って行くといいよ！」
「はい！　ありがとうございます！」

ミズカは地図と方位磁石を受け取る。どうやら、オーキドがオダマキに頼んでいてくれたらしい。隣りにいるエーフィは、つい先日のミズカの方向音痴を体験しているため、その計らいに安心した。

「それじゃ、行って来るといいよ。サトシ君達はカナズミシティへ向ってるって電話があったよ！」
「わかりました！　ありがとうございました！」

そうして、ミズカはカナズミシティへ向って歩き始めた。

「ねぇ、エーフィ……こんな速さじゃ間に合わないよね？」

ミズカが地図を見ながら聞いた。普通に歩いているだけではきっと追いつかない。エーフィも頷いた。

「よーし。もう一回、走るか～！」
「フィー！」

体がムズムズして仕方ない。とにかく一刻も早く、仲間に会いたかった。

ミズカがミシロタウンを後にして、三日が経った。走っては疲れて歩いてを繰り返し、やっとトウカシティを過ぎた。