13章 さようなら。また会う日まで!

それにしてもと、ミズカは辺りを見渡す。

生い茂る木々たち。少し見覚えがある。それに懐かしい匂いまでする。見覚えがあるのはアニメのせいだろうか。懐かしい匂いは何なのか。森はどこにでもある。今までの旅で森に入ることが多かったから、既視感があるのだろうか。

「フィ?」

エーフィが顔を覗かせてきた。

「あ、ごめん。ちょっと見覚えあるように思えたから……」

エーフィは目を見開いた。そして、そっとミズカから目を逸らす。見覚えがある……。エーフィには心当たりがある。だからといって、ミズカに言うつもりはない。

チコリータは森のポケモンたちと親しげだった。今日はここにいたいと言われた。日が暮れる頃になって、エーフィと一緒に研究所に戻る。

ミズカは考える。チコリータはもしかしたら、ここに残ると言うのではないかと。そのときは、彼女の思う通りにしようと、そう思った。
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