13章 さようなら。また会う日まで!

しかし、オーキドは何か封筒を取り出すと、口角を上げてミズカに差し出す。

「そうか、なら良かったわい! これが船のチケットじゃ!」

封筒の中にはホウエン地方行きのチケットがあった。さっきの複雑そうな表情は気の所為だったようだ。ミズカは封筒を見つめたあと、オーキドを見上げた。

「え……、良いんですか?」

ミズカは驚く。

「何、子供が遠慮する事はないわい」
「そうですか……。ありがとうございます!」

ミズカはホウエン地方行きのチケットをもらった。

「今日はここで泊まっていくといいじゃろう」
「ありがとうございます!」
「それじゃ、私はこの辺で……」

ハナコが立つ。どうやら帰るらしい。

「ミズカちゃん。サトシに会ったらたまには電話しなさいってサトシの母が言ってたと言っておいてね」
「はい!」
「それじゃあ、気をつけるのよ」

そして、ハナコはニコリと笑うと、帰って行った。

「博士。外でポケモンたちを見学してもいいですか?」
「もちろんじゃよ。エーフィやチコリータに案内してもらうとよいじゃろう」
「ありがとうございます!」

まだ日が暮れる前。ミズカはエーフィとチコリータと、オーキド邸の庭をまわることにした。

「うわぁ……!」

思わず感嘆する。アニメで観たことは何度もあるが、自分がそこに来るとは不思議な感覚だった。しかも、あっちを見ればポケモン。こっちを観てもポケモン。ミズカには天国のような場所だ。

「あれ、サトシのケンタロスだよね!?」

ケンタロスの群れを見る。あれは、紛れもなくサトシがサファリゾーンで捕まえたケンタロスだ。

サトシのポケモンはそれだけではない。キングラーやベトベトン、カビゴン。それから、ジョウトで一緒に旅をしたポケモンたちもいた。ミズカ達を知っているポケモンたちは、もれなく手を振ってくれた。ミズカも手を振り返して次に進む。

色々なポケモンが伸び伸びと過ごしていた。

ミズカは遠くに森が見えるのがわかった。

「チッコ!!」

チコリータが行きたそうにする。首を傾げながらと、そういえば、とミズカは思い出す。

「フシギダネいるんだよね」
「チコチコ!」
「会いに行こうか!」

チコリータは目を輝かせた。フシギダネは今、このオーキド邸でポケモンたちの争いを鎮めるリーダー的な役割をしている。フシギダネにすぐに懐いたチコリータを見ても、フシギダネのまとめる力はすごいとミズカは思う。

森に入ると、森に住むポケモンたちがミズカをジロジロと見ていた。しかし、エーフィとチコリータは知り合いらしく、笑顔を交わすと、二匹のトレーナーと気づいたポケモンたちはすぐに馴染んでくれた。

さらに奥に進むとフシギダネがおり、チコリータは再会を喜んだ。オーキドに電話を掛けたとき、たまにエーフィやチコリータは外で遊んでいると聞いた。おそらく、ここまで迷わずに来たのも、たまに来ているからだろう。

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