「ここら辺で昼食にするぞ」

お昼。その言葉を聞き、三人は荷物をおろした。タケシはミズカに調理道具を一通り出して、

「後はよろしくな」

と言って、ポケモンたちのポケモンフーズを作りに行った。タケシはポケモンブリーダー。ポケモンに関する知識があり、治療法や育成方法などを熟知している。ポケモンによって好みの味が異なるらしく、タケシは度々、個々に合わせてポケモンフーズを作っている。

ミズカもアニメで見て知っているため、不思議には思わなかった。

「よーし！」

ミズカは気合をいれた。材料は揃っている。道具もある。確認して、昼食を作り始めた。

「できたよ！」

ほんの３０分ほどで昼食が出来上がった。サトシ達に声をかける。

「俺もう腹ペコ……」　
　
サトシはお腹を擦りながら、こちらへ歩いてきた。

「この匂いはもしかして……オムライス！？」

カスミは、匂いを嗅いでピンと来たのか、まだテーブルに出していないのに、ミズカの作ったものを当てる。

「よく分かったわね……」

カスミの嗅覚にミズカはビックリした。

「あたし、大好きなのよ！　オムライス！」
「そうなの？　良かった」

嬉しそうに声を上げるカスミにミズカも安心する。カスミはミズカの作ったオムライスをテーブルに並べる手伝いをした。

「なかなか、できがいいな！」

作り終わったポケモンフーズを、ポケモンたちの前へ置き終わったタケシがテーブルを覗いて言った。

「ありがとう！　それじゃ、食べようよ！」
「いただきまーす！！」

四人は座って、さっそく食べることにした。ミズカ自身、オムライスには自信があるが、少し緊張していた。彼らにとって美味しいものになっているのかと。三人の反応を窺う。

サトシが、大きな一口を飲み込んで、

「うまい！！」

と、声を上げた。

「ホント、おいしいわよ！」
「たいしたもんだな」

オムライス好きのカスミも料理上手なタケシも美味しいらしい。そんな三人の反応を見て、ミズカはホッとした。そして、自分も一口食べる。ミズカがいつも作ってる味と一緒。
ケチャップを多めに入れたチキンライス。自分でも美味しく感じる。サトシとミズカは、あっという間に食べてしまった。