13章 さようなら。また会う日まで!

「そっか、ミズカはこういう所来るの初めてだもんな」
「まあね。……改めて、おめでとう! サトシ、ピカチュウ。決勝リーグ頑張って!」
「あぁ!」

サトシもピカチュウも大きく頷いた。

「それじゃ、あたしは他の所も見て来るね! その後はすぐ帰るつもりだから」
「じゃあな!」
「じゃあね!」

ミズカは三人と別れた。会場を出て、しばらくエーフィとチコリータと歩いていると出店があった。お祭り騒ぎとはこのことなのだろう。焼きそばやりんご飴、チョコバナナ、ピカチュウカステラまである。そこらへんは、ミズカの住む世界と変わりがない。

ワクワクしながら、周りを見ていたので完全に余所見をしていた。目の前に人が歩いてきているのにも気づかず、ミズカはぶつかってしまう。

「すみません! 余所見してたもので……」
「いや、僕こそ余所見してたから……。って君は」
「あ! シゲル!」

ミズカが余所見してぶつかった人物はシゲルだった。急に恥ずかしくなって、ぶわっと顔に熱がこもる。まさか、こんなところで会うとは思っていなかった。

「久しぶり」
「あ、あぁ」

シゲルを見る。以前のように顔をしかめることはなかった。穏やかな表情。

「サトシ達には会ったのかい?」
「さっき会った。シゲルも決勝リーグに進んだよね?」

ミズカが聞く。シゲルが決勝リーグに進出したことも知っていた。シゲルはまさか自分のことも観てくれているとは思っていなかったのか、少し嬉しそうに口角を上げる。

「うん、まあね」
「おめでとう!」
「ありがとう」

こないだのあれは何だったのだろうか。そう思うくらい、シゲルは自分と普通に接してくれていた。これだったら聞ける。ミズカは決心して口を開く。もうミズカの顔から笑顔はない。

「この間……会った時なんだけどさ……」
「どうしたんだい?」
「どうして、あたしの名前を聞いて顔をしかめたの?」

ミズカはずっと疑問に思っていた事を聞いた。

不安げに聞いてくるミズカに、シゲルは「え……」と言葉を詰まらせた。まさか、そこを突っ込まれるとは思っていない。しかし、自分が彼女に対してよくない態度を取ったことは確かだ。じゃあ、今も彼女に会いたくなかったかと言えば、少し違った。
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