12章 エーフィvsピカチュウ

「よし! 使用ポケモンは一体な!」
「OK!」

カスミとタケシのところへ戻ってきたミズカとサトシは、早速バトルのルールを決めていた。

タケシは思う。さっきまでの恋バナはどうしたのかと。解決したかどうかすらわからない。相変わらず、二人の思考にはついていけない。そして、おそらく審判は自分だ。誰に言われることもなく、タケシは審判の位置についた。

「まーた、バトルするわけ?」

カスミは呆れた顔で言った。

「またって随分やってないよ? サトシとは……」
「はあ……」

せっかく戻ったら、サトシに好きな人を聞こうと思ったのに。いつものサトシに戻ってしまった。これでは、聞いたところでまた最初から説明しなくてはならなくなる。

カスミはそっと諦めた。

「ミズカ! やろうぜ!」
「うん!」

ミズカとサトシは位置につく。

「使用ポケモンは一体! どちらかのポケモンが戦闘不能になった時点で試合終了!」

タケシの号令で二人は頷く。サトシとは最近バトルは出来ていない。しかし、こないだのバトルは引き分けだった。チコリータで勝ったり、引き分けだったり。もちろん、負けることも多いが、それでも最近はやっとバトルに自信がついてきた。

「よーし、エーフィ! プレイバトル!」
「フィー!」
「ピカチュウ! 君に決めた!」
「ピッカ!」

ミズカはエーフィ、サトシはピカチュウを出した。エーフィを出すと、大体サトシはピカチュウを出してくる。そうなると、エースポケモンを出されているので、エーフィはなかなか勝てないでいた。

今度こそ、とミズカもエーフィも気合を入れる。

「こっちからいくよ! エーフィ、電光石火!」
「フィ!」
「ピカチュウ、十万ボルト!」
「ピーカヂューウ!」

ピカチュウは十万ボルトを、エーフィは電光石火のスピードの勢いでかわした。そして、ピカチュウにそのまま攻撃する。ふっとばされたピカチュウを見て、ミズカは続けて指示を出す。

「エーフィ、いいよ! そのままスピードスター!」
「フィー!!」
「エーフィ、スピードが速いわね……」

着実にピカチュウにダメージを重ねる攻撃にカスミが呟く。
他のトレーナーのときも思ってはいたが、戦い慣れているピカチュウだと、素早さが上がっているのが明白だった。ピカチュウが少しでも気を許すると、スピードが追いつかれるどころか抜かされる。

「ピカチュウ、電光石火だ!」
「ピッカ!」

しかし、ピカチュウもやられっぱなしではない。エーフィが電光石火なら、こちらも電光石火で攻撃する。今度はエーフィがピカチュウに追いつかない。しかし、ピカチュウよりエーフィの方が少し大きい。エーフィはふっ飛ばされないように堪えた。
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