「あなた達、旅の途中？」
「はい、そうです！」

サトシが答えた。

「それじゃ、今日はここで野宿だから一緒にどう？」
「はい！　お願いします！」

エリコの誘いにサトシが勝手に決める。しかし、ミズカもカスミもタケシもそのつもりであったため、頭を下げた。

「それじゃ、よろしくね。あ、ミズカ。他のポケモン見せてよ！」

アイミが言った。どうやらアイミが気に入ったのはピチューだけではないらしい。ミズカは友達が増えて嬉しくなる。ボブヘアを耳にかけるアイミはおそらく少し年上だが、ミズカは気にならなかった。

「よし、エーフィ。チコリータ。出てきて！」

エーフィとチコリータがモンスターボールから出てくる。アイミの目が輝いた。

「うわ～、このエーフィ、毛並みが綺麗ね！　チコリータも、色が良い！」
「ありがとう！　タケシに手入れの仕方教わってるんだよね」

ミズカは少し照れながら言った。

「このピチューも可愛いし！　言うことなしね！」
「アイミはポケモン持ってないの？」
「いるわよ！　全部、炎タイプのポケモンだけどね。今はダンスのショーに出られるように特訓中なの」
「へぇ～！」

なるほど。確かにさっきはほのおタイプのポケモンがいなかった。ダンスのプロとしてのクオリティを求められるらしい。

「そうだ！　これからポケモン達が、ダンスの稽古やるけどあなた達のポケモンも一緒にどう？」

手をパチンと鳴らし、エリコが言った。

「ホントですか！　みんなどうする……って聞くまでもないみたい……」

エーフィ、チコリータ、ピチューはやる気満々である。こういった好奇心はおそらくミズカに似たのだろう。

「それじゃ、よろしくお願いします！」
「わかったわ！　サトシ君達はどう？」
「よろしくお願いします！」

サトシとカスミも声を上げた。

「よし！　それじゃ、今からやるわよ！」

エリコの号令で、ポケモンダンス団の稽古が始まった。

「まずは、みんなこの音楽に合わせて好きなように踊って見せて！」

エリコが言うと、アイミがラジカセを持ってきて電源を入れた。その曲は知らない曲だったが、ポップでリズミカルな曲でダンスに使いそうな曲というのはわかる。

「さぁ、みんな踊って！」

しかし、急に踊れるはずもなかった。ダンス団のポケモンは慣れたように踊っているが、ミズカ達のポケモンは戸惑っていた。なかなか難しいことをしているんだなぁ、とミズカ達は思った。