11章 ポケモンダンス団と別れ道

「あ! お客さん?」
「え、あ、まあ……」
「じゃ、席に座って。座らせないと団長に怒られるんだ。 あ、あたしはアイミ。ここでバイトしてるの。よろしく!」

アイミの格好は半袖にジーパンを履いていてとても動きやすそうな格好だった。スムーズに席を案内する辺り慣れているようだ。

ミズカ達もそれぞれ自己紹介をする。

「さ、座って。満席になったら座れなくなるわ」

挨拶で座らなかった三人に、早く座るように言うアイミ。

「満員?」
「今に見てればわかるわよ。すぐに満員になるから!」

そう言って、アイミは四人を座らせた。その数分後、どこから涌いて出てきたのか。アイミの言った通り、すぐに満員になった。広場いっぱいの人である。タケシ曰く、近くに村があるらしい。おそらく、そこの人たちだろうとのことだ。

「お待たせしました! これから、ポケモンダンス団によるポケモンダンスをお見せしたいと思います!」

マイクのよく通るアナウンスはアイミの声だった。その言葉が終わると、お客はみんな拍手をした。

「では、まずはカポエラーのダンスからです!」

そして、ダンスは始まった。カポエラーや、プリン、ストライクやキレイハナなどのポケモンが数匹ずつ順番に出てきて踊っている。

カポエラーのブレイクダンスは、とても格好いい。プリンのコロコロ転がるダンスや、ストライクの居合い切りを用いたダンス。キレイハナのフラダンス……。

ダンスは見ている者をとても楽しくしてくれた。

「すごーい!」

ダンスが終わると、すごい歓声と拍手だった。それだけ凄かったのである。その後、あっという間に人はいなくなった。

「どうだった? ポケモンのダンスは?」

アイミが聞いてきた。

「凄くよかったよ!」
「ホントに! 良かった!」

ミズカが興奮して感想を述べると、アイミは喜ぶ。

「この人達と仲良くなったの?」

そこへ、一人の女性が、アイミに話しかけた。

「えぇ! そのピチューが凄く可愛いくて……!」
「そのピチュー、あなたの?」

肩に乗ったピチューを女性がミズカに聞く。

「はい!」
「そう! そのピカチュウとトゲピーも可愛いわね!」

女性は、ピカチュウとトゲピーを見た。サトシもカスミも「ありがとうございます」と会釈する。

「申し遅れたわね。私はエリコ。このポケモンダンス団の団長よ!」

エリコは見た目、二十代のお姉さんだった。

「あたしはミズカです!」
「サトシです!」
「カスミです!」
「自分はタケシと申します! 貴方の切れ長の瞳に心を打たれました。どうでしょう。これから、自分とお茶でも……」
「はいはい、お茶なら一人でしようねー!」

いつものように暴走するタケシにカスミは耳を引っ張って止めた。ミズカとサトシは苦笑する。

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