1章 ポケモン世界へ!?

「起きてたの?」

ミズカは驚いて、カスミの方へ寝返りを打つ。

「まあね」
「そっか……」
「やっぱり、もとの世界が気になるのね」
「うん……」

もとの世界のことに触れられ、ミズカは素直に頷いた。もとの世界は一体どうなっているのだろうか。戻れるかどうかも心配だし、自分がいない世界がどうなっているのかも気になっていた。

「ミズカ?」
「何?」
「もとの世界に帰ったらもうここには来ないの?」

カスミが急にそんな事を聞いてきて、ミズカは一瞬ビックリした顔をした。カスミは少なくともミズカは帰れると思っているようだ。

もし帰れたら……。自分はポケモン世界に来ないのだろうか。その疑問は愚問に近い。

「ううん、来るよ!」

ミズカは笑顔でカスミに言った。

「だって、せっかくカスミ達と友達になれたんだもん。行き来できるって言われてるのに、来ないなんてもったいないことできないよ」
「そっか。よかった」
「え?」
「ううん、なんでもないわよ」

カスミにとって、女の子の旅仲間は初めてだった。もちろん、ミズカが帰れる方法を早く知ってほしい気持ちもある。だが、二度と会えなくなったら……。まだ出会って間もないが、カスミはミズカに親しみを感じていた。

もっと仲良くなりたい。たまにはミズカにこっちに来てもらい、一緒に旅をしたい。そんな気持ちが強くあった。

カスミのなんでもないの言葉に、ミズカは首を傾げながらも
、「そう……」と返す。カスミは答えてくれそうにないことを何となく肌で察していた。

「うん! そろそろ寝ましょうよ! 昨日から寝てないんでしょ?
「知ってたんだ」
「だって、目の下が隈よ?」
「あはは……」

バレてるとは思っていなかった。むしろ、旅をしていて、自分の顔を見ていなかった。顔色などわかっていないし、目の下に隈があることも気づいていない。

ミズカは苦笑する。

「じゃ、おやすみ」
「えぇ、おやすみなさい」

ミズカはようやく眠ることができた。
帰れないことを考えるのは、一旦やめた。考えても仕方がない。カスミと話していてそう思った。
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