10章 幽霊ハナのお願い

今日はポケモンたアニメがやる日。そして、今日がサトシのジョウト最後のジムバトルとなる日だった。ミズカは急いでテレビを点ける。ちょうどオープニングが始まったところでミズカはホッとした。

――サトシ! 頑張ってよ!

なぜミズカが、テレビで観ているのか。それは、母親と弟もいることもあるが、アニメのある日に手鏡が反応してくれないこともあった。たまに、2話連続の話などが続いたときも、同様の現象が起こる。つまり一週間まったくポケモンの世界に行けないこともあった。

こないだポケモン世界に行った際、オーキドに聞いたところ、時空間の大幅な乱れを察知して一時的にミズカの住む世界とポケモン世界を通路が封鎖されているのだろうということだった。では、自分が行くことで時空間は乱れないのだろうかとミズカは思ったが、口に出したときに、もうポケモン世界には来なくて良いと言われるのは嫌だったのでやめた。

けれど、あまり時空間を乱すことはしないようにしようとも思った。

とにかく、封鎖されている状況のため、ポケモンの世界に行けないらしい。しかし、ミズカにはどうでも良かった。とにかく、サトシに最後のバッジをゲットしてくれればそれでよかった。

「ライジングバッジゲットだぜ!」
「ピッピカチュウ!」

サトシは無事、イブキに勝ってバッジをゲットしていた。ミズカは真剣にバトルを見ていたのだが、サトシのバッジゲットに一気に力が抜ける。

――サトシはこれからリーグなんだ。応援しなきゃね!

ミズカは、夜、こっそりとポケモン世界に行く。サトシに会いに行きたかった。夜には手鏡も反応してくれた。

「着いた! ここがフスベシティだぁ!」

いつもの調子でミズカは言った。

「ピチュー!」

肩に乗ったピチューもミズカの言葉に反応して声を上げた。そして、少し歩くと、サトシ達を見つける。

「おーい! サトシ、カスミ、タケシ!」

ミズカは三人を呼ぶ。三人はミズカに気づいたようで、手を振ってくれた。ミズカは三人のとこへ駆け寄る。

「サトシ、ピカチュウ。やったね、バッジ!」
「あぁ! 観てたのか!?」
「もちろん、当たり前じゃん! 後は、リーグだね!」
「あぁ!」
「ピカピカ!」

気合の入るとサトシとピカチュウ。

「でも、サトシにリーグ優勝なんかできるのー?」

カスミは意地悪っぽく言った。決してカスミが本気で言っているわけでないのをわかってか、サトシは言葉に乗る。

「やってやるぜ!」

目はメラメラと燃えていた。ミズカ達は単純なサトシに苦笑する。

――……シゲルも出るはずだよね?

ミズカはふとシゲルを思い出した。そう。そろそろ自分の気持ちに決着をつけるときだった。なぜ自分の名前を見て、顔をしかめたのか。なぜ自分は彼が気になるのか。その答えが、ジョウトリーグでわかるはずだ。

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