9章 ピチューを救え!

「さ、返せ!」
「嫌だ!」
「返してください」

迫ってくるブソンとバショウに、エーフィはサイコキネシスを放つ。二人が怯んだ隙にすばやくヘリの出口に向かった。

「嫌って言ってるでしょ! そんじゃ、さよなら!」

ミズカはピチューとエーフィを抱きしめて、そこから飛び降りた。

「なんてガキだ……」
「もういいでしょう、ピチューは他のを探しましょう」

流石のバショウとブソンも諦めた。そもそも助かるなんて思っていない。空に消えて行った。

ミズカはエーフィに残りの力でサイコキネシスを頼む。すると、勢いよく落ちていた一人と二匹の身体が、徐々にスピードを落とした。エーフィの力が尽きた頃には、木の上。うまい具合に木がクッションになって地面に軽く尻餅をつくぐらいですんだ。運がいいと言うかなんと言うか。ミズカは苦笑する。

「助かった……。危機一髪ってやつ? ピチュー大丈夫?」
「ピチュー!!」
「エーフィは?」
「フィー」
「良かった。エーフィ、ありがとね。助かったよ」

ミズカに抱えられていた二匹はミズカから降りる。ミズカは立ち上がって、お尻をパンパンと叩いた。尾てい骨を打って、痛いのだが、そうするとピチューが心配するだろうと、なんとか堪えた。

「おーい! ミズカー!!」

遠くでサトシの自分の探す声が聞こえる。

「こっちだよ!」

ミズカが返すと、その声に気づいたのか、サトシとカスミが走って来た。ピカチュウが真っ先にピチューを心配して、寄ってくる。

「無事みたいだな!」
「ピチューも取り返したみたいね! で? どうやって、ヘリから降りてきたのよ?」

疑問に思ったカスミが質問する。ミズカは空を見たあと、二人に視線を戻すと、にこりと笑う。

「飛び降りた!」
「飛び降りたー!?」

サトシとカスミは同時に声を張り上げて言った。普通ではありえない行動に、二人とも驚愕する。

「あ、でもエーフィの力を借りたから……! ところで、タケシは?」
「今、ジュンサーさんを呼びに行ったわよ」
「そっか、でも、もうバショウとブソンはいないんだよね……とりあえず、タケシと合流しよう」

ミズカはそう言って勝手に歩いていく。その後を、慌てて追いかけるサトシとカスミだった。

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