with横山
伊吹はたまたまコンビニで立ち読みをした。
ほんの5分の息抜き。
普段は特に気にしない新人コーナーに、ふと目がとまる。
「…なんだこれ、めちゃくちゃきゅるい」
指でページをそっとなぞる。
誰だろうと作者を見たが、知らない名前だった。
伊吹は数秒その1ページをじいっと見つめてからページをそっと閉じて、雑誌を買った。
コンビニの袋をぶら下げて、ルンルンで車へ戻る。
「志摩ちゃん見て!」
「…お前、仕事中に何漫画とか買ってんだよ」
「いいから見てって、これこれこれ!良くない?」
「…ああ、うん、まあ。いいんじゃない?」
「でしょ!?俺、なんか刺さっちゃってさ〜〜〜〜、やばい、これ描いた人の漫画、もっと見たくなっちゃった…つーか、これ、手紙とか出せんのかな」
ペラペラと喋り倒す相棒に少し圧倒されながらも、その伊吹らしさに口元が緩む。
「宛先、書いてんだろ」
「本当だ!さすが志摩ちゃん!絶対書く。ちょっとしたファンレター!書く価値あるって思うの、わかるでしょ?志摩ぁ〜〜〜〜!」
「わかったから落ち着け。そんで、手紙書けるなら始末書もまともに書け」
その夜、伊吹は手紙を書いた。
便箋を選んで、下書きをして、何度も書き直して。
でも文字を書くのはやっぱり苦手で、短い文章。
名前は一応フルネームで書いたけど、知られてないただの一読者。
読まれるかなんてわからないけど、どこかで届いてくれればいいなって信じてる。
「…不思議だよなぁ、たった1ページで、こんなに動かされちゃうんだもん」
ベッドに転がって、伊吹はにやにや笑いながら、次回もチェックしようと決めた。
