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R風味


休みの日は会わないなんて言っていたのはいつのことだったか。
ただの相棒なのに合鍵をもらって、いつからか当たり前に使わせてもらうようになっていた。

鍵を開けたのに、いつもなら出迎えてくれる伊吹がこない。連絡を入れてから待たせてもらおうと靴を脱ぐと、部屋から灯が漏れていた。

吸い寄せられるようにその隙間に指をかけて、ほんのわずかに開ける。
目に飛び込んできたのは、乱れた髪、わずかに汗ばんだ肌。そして、自分の名前を呟きながらシーツの上で腰を揺らす伊吹の姿だった。

「っ…志摩ッ、ぁ、、ッ」

息が詰まった。上半身を仰向けに反らし、片手で自分のものを握りしめて静かに喘いでいる姿。肌にまとわりつくTシャツに指の隙間からこぼれる白濁の液体。

視線が釘付けになった。
本当はその場で目を逸らして何も見なかったことにするべきだった。でも、動けずに息を潜めて見てしまう。

「…っは、しま、すき、、…っ」

かすれた声で、耳に届いた言葉に喉の奥が熱くなる。
そんな風におれの名前を呼んで、触っていたのか。
胸が締めつけられて息苦しくて、手が勝手にドアを開けていた。

「…いぶき」

伊吹の動きが止まり、驚いたようにこちらを向いて視線が交わる。火照る額には汗が滲み、呼吸は荒く、熱に浮かされた瞳。

「な、にしてんの、志摩…」

気づけば、部屋に入り伊吹の前に膝をついていた。
呼吸が浅くなる。
どちらかと言うと淡白で、自ら欲したのは初めてだった。頭の中が熱くて、理性なんてとっくに消えかかってる。

「欲しい」

伊吹のその熱を包み込むと、熱くて脈打っているのが伝わった。生々しくて、頭がふわふわする。

「っ、志摩…待って、俺、今……ッ」
「待たない」

出されたばかりの精液を舌で舐め取る。そのまま舌先で先端を転がせば、聞いたこともないような甘く掠れた声が漏れた。

「ん……っ、や、ば……」

おれの前で、おれのせいで乱れる姿にとんでもなく興奮する。
口の中に含んで、ゆっくり舌で撫でながら吸い上げると、伊吹が堪えきれず声を上げた。

「ッぁ"……や、ばい、志摩、、っ」

構わず奥まで咥えて、唇で根元を包み、舌で裏筋をなぞる。すると、伊吹の指が俺の髪をぐしゃぐしゃに掴んで、無意識に腰を押しつけてきた。

「ごめ、も、むり……っ」

瞬間、口の中に熱いものが溢れた。
決して美味しくないのに全部飲み込んで、名残惜しそうに舌を這わせると、伊吹は肩で息をしながらおれを見下ろしてくる。

「何してんの」
「わかんない」
「わかんないって何」
「わかんないんだよ、おまえのあんな姿見たら欲しくてしかたなかっただけ」
「…ねぇ、それ好きってこと?」

そう問われてやっと腑に落ちた。
そうか、おれは伊吹が好きなのだ。

「志摩、俺のこと好き?」

疑問形で聞きながらもほとんど確信しているのか、そのまま押し倒される。
おれの服を慎重に脱がせながら、唇を何度も何度も重ねてきた。

「志摩、好きだよ。ずっと、好きだった」

耳元で囁かれる声に胸が詰まる。
声にならないまま涙が滲んで、伊吹の首に腕を回した。

「…いいよ、おれは」

おれの言葉を合図に、伊吹の手が下着越しに俺のそこを撫でて唇が首筋を吸う。
そのまま体中を舐められて、甘い痺れが走った。

「んっ…ぁ…すき、おれも、いぶき、すき」
「かわい、しま、しぃま…ふふ、だぁいすき」

その夜、お互いに名前を呼び合いながら何度も何度も身体を重ねた。
これまでの想いを全部ぶつけるみたいな時間は、ふたりをやわらかく満たし、ひとつに溶け合わせていった。
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