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R風味


触れるだけの遠慮がちなキスは、徐々に熱を帯びたものに変わっていく。
酸素のため少し開いた志摩の唇から舌を誘った。

「ん、ぅ、ぁ…ふ…」

背中をなぞると、志摩の身体がふるりと震えた。
そのまま熱に溶けてしまうかと思った瞬間、そっと胸を押し返され、わずかに距離を取られてしまう。

「…嫌だった?」

胸の奥がぎゅっと締めつけられて、冷たい不安が滲む。
志摩の伏せた睫毛は震え、言葉を探すように口元が何度か動いたが返事はない。

「…ごめん、無理させた?」

触れた唇の余韻も、甘さも、いっぺんに消えてしまいそうで。
それでも必死に表情を崩さないようにして、小さく笑おうとした。

「ちがう、そうじゃない…ごめん…」

しばらく静寂が部屋を包んだ。
顔を伏せたまま唇を噛んだ志摩がぽつりとこぼす。

「男同士の、その、きゃっきゃうふふ?なんてよくわかんなくて…調べてみたんだが、その、ごめん、いぶき…こわくて…準備、できてない、、だから、その、できない…」

そう呟く声は震えていて、罪悪感と少しの怖さが滲んでいた。
志摩の力が入ってしまった拳を解くようにそっと包み込む。

「全然気づけなくてごめんね」

距離を取られて不安になった俺なんかより、よっぽど怖かっただろう。
今だってまだ、きっと自分のせいで空気を壊したとかなんとかむじーこと考えているに違いない。

「しーま」

少しでも志摩が楽になれるように、甘い声で名前を呼ぶ。
もともと、挿入するつもりはなくて、本当にただ興奮して調子に乗った。
志摩の気持ちを考えられなかった自分が腹立たしい。

「わざわざ調べるくらい、俺とのこと考えてくれてたんだって、それだけでめちゃくちゃ嬉しい」

志摩はそういうの嫌がるかなとも思ったし、身体の関係がないお付き合いでも全然いいと思っていた。
だからこそ余計に、志摩の中に俺とそういう行為をする選択肢があっただけで本当に嬉しかった。

「志摩が怖いのは当たり前だし、ゆっくりでいいし、なんならシなくたって全然いいんだよ?志摩が隣にいてくれるだけで、ほんとに幸せだもん」
「ごめん…」
「謝んないよ志摩ちゃん、俺のほうがごめんね」

しばらくお互いに何も言わず、ただ寄り添って座った。
けれど、身体はもうとっくに熱を持っていて簡単に消えるものじゃなかった。

「ぃぶき…」
「んー?」

ただ唇を噛んで伏せ目がちになっていたその頬に手を添える。
唇ではなく額にお遊びみたいなキスをした。

「や、っぱり、がんばる…準備とか、ちょっと時間かかるかもしれないけど、ちゃんとするから…」
「しーま、俺の話聞いてた?」

身体の関係がなくてもいいと言ったのは、紛れもない本心だった。
強がりでも優しさでもないことを志摩に伝えるのはいつだって少し難しい。
むじーことを考える頭の良さと何故か自己肯定感が低い志摩は、自分の心を犠牲にして俺のために動こうとする。

「だって、でも、だって…」

志摩の視線が俺の主張している下半身にうつる。
これは仕方がないと許して欲しいものだ。

「あーごめんね?気にしないで?あとで自分でやっとくし」
「…ちが、おれも、おれだって、その」

顔を真っ赤に染め落ち着きのない様子にやっと気づいた。
自分だけだと思っていたが、志摩もちゃんと興奮はしてくれていたらしい。

「かわ…っ、、ん"ん、じゃあさ」

囁きながら志摩の手をそっと取り、布越しに自身の熱を触れさせる。
その硬さと熱さに、志摩が息を呑んだのがわかった。

「一緒にシたい、挿れるだけが正解じゃないっしょ?いやだ?」
「…や、じゃない」

か細い返事が子どもみたいに拙くて大事にしたいと一層思った。
ベッドに移動して志摩を抱き寄せるように横座りの姿勢になる。
志摩の熱を握ると、甘く震えた吐息を漏らす。

「…ぁ、ん、、」
「気持ちいい?」

自身のモノを握り、志摩のソレと並べて擦り合わせる。
触れ合う熱と湿り気を帯びた感触が生々しくて、腰が勝手に動く。
擦り合わせるたび先端がとろりと濡れて絡み、いやらしい音を立てた。

「ぁ"ー志摩ちゃんかぁいい、むり、すき…ッ」
「ん…ゃ、、はっ」

志摩は顔を伏せ、はくはくと声を漏らすけれど逃げようとはしない。
擦り合わせる速度が上がり、互いの熱が強く絡み合う。
首筋に舌を這わせれば、志摩は必死にしがみついてくる。

「ッ、ぁ、イッていいよ、、ん"は」
「いっしょ、いっしょがい…っ、いぅッ、き…ッ」
「んッかぁいいねぇ、一緒にイこ?」

数回強く擦り合わせると、互いの熱が跳ねて、びくびくと震えながら白濁が絡んだ。
とろとろと溢れ落ちるそれを、優しく拭う。
熱を放ったあとも、ふたりの呼吸は荒いままだった。

志摩は肩で息をしながら、伏せた睫毛の隙間からちらりと俺を見上げてくる。
その瞳は潤んで、熱の残る頬は赤く染まり、うっすらと汗ばむ髪が額に張りついていた。

「……っ、は、……ぁ」

息も絶え絶えに喘ぐ表情は、満たされた安堵と快楽の余韻。
そして、まだ名残惜しそうな火照りが滲んでいて思わず喉が鳴る。
全身に残る興奮の熱が、一度達したというのに、またぞわりと逆流した。

「…志摩」

志摩は照れたように顔を背けようとするけど、逃さない。
俺は無理やり視線を絡めた。

「ん、な、に…」
「かわいーね、嫌じゃなかった?」

熱を孕んだ声で囁くと、志摩の耳がさらに朱に染まった。
唇を寄せれば、震えた睫毛の奥に潤んだ瞳が真っ直ぐ俺を捉える。

「…いぶきに、さわられるの、すき…」
「ん"ん…もう志摩ちゃんやばい、、きゅるすぎ…」

途切れ途切れに紡がれる言葉に、俺の理性はまた簡単に焼け落ちた。
先ほどよりもさらに深く、舌を絡め、甘く啜る。
その都度、志摩は甘い声を漏らして吐息混じりに俺の名前を呼ぶ。

「ん……っ、ぃ、うきっ…ぁ……」

そんな高揚した表情と蕩けた声を聞くたびに、下腹が疼く。
止める理由なんて、もうどこにもなかった。

「…ごめん、もうちょっとだけ付き合って」

そう囁けば、志摩は顔を真っ赤にしながらも小さく頷く。
そんな大事な恋人を腕の中に抱き込み、再び熱に呑まれていった。
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