R風味
いつもは元気すぎる相棒が、困ったように頭をかきながらおれの服を引っ張る。
まるで迷子の幼子のようだ。
「志摩ちゃん、、これみて…」
伊吹の髪の間から、ぴょこんと犬耳が生えていた。
しかも、それがしおしおと横に垂れているものだから、思わずふっと笑ってしまった。
「…なんだそれ」
「いや、わかんねぇって!朝起きたらコレだもん。志摩ちゃんなんとかしてよ」
ぺしょんとした耳があまりにも情けなくて、つい手を伸ばした。
ふに、と柔らかい耳を指で摘まむ。
「わ、ちょ、やめ、志摩ぁ、それくすぐったいって!」
「ふは、めっちゃおもしれぇ…」
アクセサリーなんかではなく、本当に伊吹から生えているらしかった。
つい楽しくなって、軽く引っ張ってみたり指で撫でてみたりする。
耳に触れるたび、伊吹はびくんと肩を跳ねさせている。
「…志摩。それ以上やったら、俺怒るよ?」
「へぇ、怒るんだ?」
わざと煽るように耳を両手で包み込み、ぺたんと上から押してみる。
されっぱなしの姿にきゅるを感じたその瞬間、伊吹がおれの手首を掴んだ。
「調子乗ったな?志摩」
にやりと笑った顔は、さっきまでの情けない耳とは正反対に、甘くて少し怖い。
獲物を狙うような視線に、思わずひゅっと息を呑んだ。
「覚悟しなよ?」
「ちょ、待っ…」
その目は完全に狩る側のそれだった。
掴んだ手首をそのままベッドへ押し付け、伊吹は志摩の上にのしかかる。
すっかり赤くなった志摩の顔を見て、伊吹の口元は緩んだ。
「かわいいねぇ志摩ちゃん」
指先で志摩の首筋をくすぐるように撫で、ゆっくりと舌を這わせる。
そのたびに、志摩の甘美な声が漏れた。
「ん……ぃ、ぶき……」
「志摩のその声、好き。かわいい」
耳元で囁く声も、熱い息も、甘ったるすぎてくらくらする。
犬耳の先がぴくんと動いたかと思うと、今度は首筋に甘噛み。
それだけで、志摩の体はびくんと跳ねる。
「…ぃぶき、もう……ッ」
「もうなぁに?もっとしてほしいの?」
わざとらしく悪い顔をして、伊吹は志摩の手を頭の上でまとめる。
志摩の顔が真っ赤になったのを確認して、伊吹はにやりと笑いながら、キスを落とした。
口の中まで犯すように深く舌を絡めて、甘く啼かせる。
「んっ、んぅ、ふ、っ……ぁ、やぁ……」
「んふ、この耳のおかげかなぁ?志摩ちゃんのえっちな声、いつもよりよく聞こえる」
「ば、っかぁっん、、…ぃ、ぶきっ、いうき、ゃあ…っん」
志摩の喘ぎ声が途切れ途切れになり、名前を呼ぶたびに伊吹の耳が嬉しそうに動いた。
耳いじりの代償は、思った以上に甘くて重たかった。
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