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ノーマル


水を飲んでから行くと言われて先に布団に入っていると、しばらくして志摩が来た。
ゆっくりと近づいてくるのを目で追いながら、布団をふわりと持ち上げる。

「おいで」

志摩が躊躇いがちに布団の中に体を滑り込ませると、俺はすぐに布団を元に戻して、肩までしっかりと包んだ。
背中を撫でるようにして引き寄せると、志摩の髪からふわりとシャンプーの匂いがしたのと同時に、ひやりとしたものが自分の脚に触れる。

「…っ、冷たっ」

思わず声を上げてしまったことで、志摩の肩はわずかに跳ね、それから小さく謝った。
そして、志摩は申し訳なさそうに俺から距離を取る。
そんな顔をさせたいわけじゃないのにと、自分の発言を悔やんだ。

「しーまちゃん、足こっち」

そう言って、志摩冷えた足を自分のふくらはぎに押し付ける。
それから両手で志摩の頬を包み込み、静かに、じんわりと熱を分けた。

「へーきだから、離せ」
「嫌だ、離れたら寂しいもん」
「…いやじゃない?」
「志摩ちゃんが冷たいままなのは嫌。あと俺の体温で志摩があったかくなんのエロくない?」
「ばか、」

志摩は困ったように眉を下げて、小さく笑う。
頬を撫で、足をさすり、その身体ごとぎゅうと抱き寄せて冷たさを溶かしていく。
そうしていると、だんだんと志摩はまるで熱にとろけるみたいに力を抜いた。

「…んぅ、、いぶき、の、におい…すき」

ぽつりと漏れたそれは寝ぼけた甘え声。
普段なら照れて隠してしまう志摩の言葉に、ついニヤけてしまう。

「かわいいねぇ、おやすみ志摩ちゃん」

もうすっかり夜は深く、ふたりを包む空気は甘く静かに満ちていく。
冷たかった手足も、いつしかほんのりと熱を帯び、志摩の寝息が柔らかく響き始めた。
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