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ノーマル


最近、すれ違う日が続いていた。
404が解散して捜査一課で働く伊吹は帰りも遅く、連絡も短め。
たったそれだけで、胸の中にはもやもやが積もっていく。

「何してんだろ、おれ」

今日こそは帰ってくるかもしれないと合鍵を使って部屋に入るも、家主がいない空間は静かで冷たい。
誤魔化しでつけたテレビの音がやけにうるさく感じる。
そういえば、冷蔵庫に伊吹が好きそうなスイーツを買っておいたままになっていた。

「自分で食うか…」

日が変わるほんの少し前に鍵の音が聞こえた。
おれの靴があることに気がついたのか、バタバタと騒がしくリビングの扉が開く。

「志摩ぁ!来てくれてたの?ただいま〜」

疲れているはずなのに感じさせないような明るい声。
おれは、それに返事をしなかった。

「志摩?」
「…もう寝る」
「え、なんで?せめて一緒に寝よ?」
「結構です」

志摩の声は不機嫌だけどどこか震えているようにも聞こえた。
顔を隠すようにそっぽを向いた背中。
しばらく黙ってからゆっくり歩み寄って、背後から抱きしめた。

「志摩ちゃん、寂しかった?」
「寂しくない」
「じゃあこの態度は?」
「疲れてるおまえに気をつかってるだけ」
「仕事以外だと嘘下手だよね」

俺はふっと笑って、志摩の肩に顔を埋めた。
久々に感じる体温と匂いが愛おしい。

「…ごめん。疲れてるのに、気を遣わせた…帰る」
「なんでそうなんの」
「ごめん」
「志摩?謝ってほしいなんて言ってない」
「…ごめん」

ごめんの3文字ばかりを口にする志摩の耳を軽く齧る。
身体がぴくっと震えるのを見逃さなかった。

「志摩」
「…なに」
「寂しかった?」
「…ん、ごめん。お前頑張ってんのに、わかってんのにごめん」
「んも〜相変わらず志摩ちゃんはむじぃこと考えすぎ。俺は帰ってきて志摩の靴があって嬉しかった」

あそこがいかに激務で、自分のことすら気を使う余裕がなくなる場所だとよくわかっているのに。
それなのに、いつだってストレートに話してくれる伊吹につい絆されてしまう。

「…おれ、も…ずっと、会い、た、かった」
「んふ、超きゅるきゅる、、ちゅーしていー?」

志摩の頬をそっと包む。
でも、俺が近づくより前に、志摩の唇が俺の口を塞いだ。

「シマチャン」
「ふは、なんでカタコト」
「かわいい、志摩。だいすき」

改めて、俺のほうから口付ける。
だんだん深くなる行為に、志摩は泣きそうな声で、俺の名前を呼んだ。

「っい、ぅき…もっと、」
「ん"シマチャンほんとに、丁寧にシたいから煽んなマジで」
「いい、もう、準備してある」
「そういうことじゃないんだけども」
「いぶき、足んない」
「あ"〜も〜ッ」

嘆きながら、伊吹は志摩をひょいと抱えてベッドに連れていく。
翌朝、動けないと顔を赤くする志摩にごめんと謝る伊吹がいた。
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