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ノーマル


風呂からあがった志摩がリビングに現れたけれど、髪はまだ濡れたまま。
毛先から雫がぽとりと床に落ちてるのを見つけて思わず笑ってしまった。

「しーま、髪。乾かさないの?」
「んん…」

声をかけると、ソファに座ってぐったりと身体を投げ出しながら小さく呟いた。
その声が、甘えてるってことくらいもう分かりきってる。

「風邪引くから乾かしてあげる」

タオルを持って近寄ると、志摩はご機嫌に俺がくるのを大人しく待っている。
いつもは俺が犬なのに、オフの時は志摩の方が犬っぽい。
ソファの背もたれに座って、志摩の頭を俺の膝の上に引き寄せれば、素直に寄りかかってくるのがいじらしい。

「んふふ、かわいいねぇ」

タオルでわしゃわしゃと髪を拭いてからドライヤーをかける。
ほとんど乾いた頃には、志摩の目は半分閉じていてうつらうつらしていた。

「志摩ちゃん、前髪も乾かすよ」
「…いぬ、はやいなぁ」
「犬?」

唐突な発言に笑ってしまう。
夢と現実がごっちゃになってるのが子どもみたいで、可愛くて。

「…いぬ、走ってて…」
「そっか、追いかけたの?」
「うん…捕まえた、、いぶきけん…ふふ…」
「…伊吹犬?志摩ちゃんまさか俺のこと犬だと思ってる?」
「んふ、おれのいぬ」

目を閉じたままふにゃりと笑った。
志摩の頭を指で撫でると、熱のこもった髪が柔らかく手に絡む。

「わん」

そっとドライヤーのスイッチを切って、肩を軽く叩く。
しかし甘えた声が返ってくるだけで、起きる気配はない。

「志摩ちゃん、おやすみ」

優しく抱き上げると、まだ少し意識があるのか俺の首に腕をまわしてきた。
ベッドにそっと降ろして隣に潜り込めば、無意識に擦り寄ってくる。
あたたかくて、柔らかくて、愛おしかった。
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