ぼくのはなよめさん
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「うわあ…すごい、雨」
駅の入口に立ち、外を眺めればざあざあと降る雨。
傘をさした人達が、足早にそれぞれの帰路を急いでいる。
空を見上げればどんより暗い灰色。止みそうもない。
私は駅の支柱の背に体を預け、ふうっとため息をついた。
「はあ…お天気お姉さんのばか…」
今日は終日晴れだって言ってたのに。
帰り際、隣町の駅で電車に乗るときはまだ晴れていたのに。
再びため息を付き、私はきょろきょろと辺りを見回してみた。
私と同じく天気予報に騙されたのか、駅の入口には何人かが空を見上げて佇んでいた。
ぼーっと私も雨が降っている町並みを眺めながら、出かける前のことを思い出す。
「小春」
「なぁに? 母さん」
「隣町のデパートに行くなら、ついでに今日の夕飯の材料買ってきてくれない?」
これ、メモね。と差し出されたおつかいメモを受け取ると、母さんの後ろから父さんがやってきて、メモを覗き込んだ。
「おっ、今日の夕食はなんだい?ハニー?」
「今日はあなたの好きなロールキャベツよ、ダーリン」
「本当かい!?さっすが僕のハニー!愛してる!」
「私もよ、ダーリン!」
年甲斐もなくハニー、ダーリンと呼び合い玄関で抱きしめ合う二人に苦笑いを零し、靴を履き終えドアを開ける。
「あーはいはい…ロールキャベツね、行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい!」
「気をつけるのよー!」
下げた買い物袋から覗くキャベツをちらりと見やり、またため息をついた。
あまり遅くなっては母さんの作る夕食が遅くなってしまう。父さん楽しみにしてるみたいだったし…
仕方ない、父さんに車で迎えに来てもらおう。と携帯をカバンから取り出し、開いた。
「……電池切れてる」
がっくり項垂れ、画面がブラックアウトしている携帯を閉じた。
駅構内のコンビニにはさっき寄ったけど、突然の雨でビニール傘は売り切れていた。
さて、どうしようと顔を上げると、ちょうど目の前をスーツを着た男性が雨の中飛び出していった。
「……よし、」
この駅からなら、途中で雨宿りできる所もあるし、走って帰れば夕食の時間に間に合うかもしれない。
多少風邪を引く覚悟で、私は雨の中飛び出した。
思えば、その選択が全てのきっかけだったかもしれない。
雨を止むのを待ってもう少し駅で待っていたら?
駅の公衆電話で連絡をして、迎えにきてもらっていたら?
…未来の事は誰にも分からない。
これから先の未来、何が自分の身に起こるかなんて、予知できる人間なんてそうそういない。
だから、私はこの時知らなかった。
まさか…自分が全く予想もできない出来事に見舞われるなんて。
でもね、私はそのことを悲観したりしないよ。
だって、大切なあなたに、出会えたから。
はじまりを見守る、雨
駅の入口に立ち、外を眺めればざあざあと降る雨。
傘をさした人達が、足早にそれぞれの帰路を急いでいる。
空を見上げればどんより暗い灰色。止みそうもない。
私は駅の支柱の背に体を預け、ふうっとため息をついた。
「はあ…お天気お姉さんのばか…」
今日は終日晴れだって言ってたのに。
帰り際、隣町の駅で電車に乗るときはまだ晴れていたのに。
再びため息を付き、私はきょろきょろと辺りを見回してみた。
私と同じく天気予報に騙されたのか、駅の入口には何人かが空を見上げて佇んでいた。
ぼーっと私も雨が降っている町並みを眺めながら、出かける前のことを思い出す。
「小春」
「なぁに? 母さん」
「隣町のデパートに行くなら、ついでに今日の夕飯の材料買ってきてくれない?」
これ、メモね。と差し出されたおつかいメモを受け取ると、母さんの後ろから父さんがやってきて、メモを覗き込んだ。
「おっ、今日の夕食はなんだい?ハニー?」
「今日はあなたの好きなロールキャベツよ、ダーリン」
「本当かい!?さっすが僕のハニー!愛してる!」
「私もよ、ダーリン!」
年甲斐もなくハニー、ダーリンと呼び合い玄関で抱きしめ合う二人に苦笑いを零し、靴を履き終えドアを開ける。
「あーはいはい…ロールキャベツね、行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい!」
「気をつけるのよー!」
下げた買い物袋から覗くキャベツをちらりと見やり、またため息をついた。
あまり遅くなっては母さんの作る夕食が遅くなってしまう。父さん楽しみにしてるみたいだったし…
仕方ない、父さんに車で迎えに来てもらおう。と携帯をカバンから取り出し、開いた。
「……電池切れてる」
がっくり項垂れ、画面がブラックアウトしている携帯を閉じた。
駅構内のコンビニにはさっき寄ったけど、突然の雨でビニール傘は売り切れていた。
さて、どうしようと顔を上げると、ちょうど目の前をスーツを着た男性が雨の中飛び出していった。
「……よし、」
この駅からなら、途中で雨宿りできる所もあるし、走って帰れば夕食の時間に間に合うかもしれない。
多少風邪を引く覚悟で、私は雨の中飛び出した。
思えば、その選択が全てのきっかけだったかもしれない。
雨を止むのを待ってもう少し駅で待っていたら?
駅の公衆電話で連絡をして、迎えにきてもらっていたら?
…未来の事は誰にも分からない。
これから先の未来、何が自分の身に起こるかなんて、予知できる人間なんてそうそういない。
だから、私はこの時知らなかった。
まさか…自分が全く予想もできない出来事に見舞われるなんて。
でもね、私はそのことを悲観したりしないよ。
だって、大切なあなたに、出会えたから。
はじまりを見守る、雨