ライラックが散るまで:1
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「あ、明智さん!?」
「こんにちは、七瀬さん。」
「…?」
「あ、あれ?春葉ちゃん!どうして明智さんと一緒にいるの?」
名前を呼ばれて駆け寄ってきた女性ーー七瀬美雪は春葉を見て安堵の表情を浮かべた。しかし、美雪は春葉と…明智と呼ばれたこの男性との組み合わせに驚いているようだ。
美雪に今の状況を説明をしようと思い、メモ帳を取り出すが、すかさず明智が口頭で説明をする。
「彼女がとても困っている様子だったので声をかけたんですよ。待ち合わせをしていることがわかったので、相手が見つかるまでご一緒しようかと。まさか待ち合わせの相手が七瀬さんだとは思わなかったので驚きましたよ。」
「こっちこそ明智さんと春葉ちゃんが一緒にいて驚きましたよ!春葉ちゃん、ごめんね。まさかこんなに人が多いと思わなくて。でも良かったぁ…。明智さんが名前を呼んでくれなかったら、見つけるのに時間がかかってたかもしれないわ。」
「案外すぐに見つかっていたかもしれませんね。”困っています”という様子がありありと出ていましたから。見ていて放っておけなかったので、声をかけてしまいました。」
「そうかもしれないですね。春葉ちゃんって結構顔とか態度に出やすいですから……あっ…。」
普通に談笑し始める目の前の2人に困惑していると、春葉の様子に気づいた美雪が慌ててフォローを入れる。彼女の言う通り、顔に出ていたのかもしれない。
「ごめんごめん!びっくりしたよね。この人、明智さんって言うんだけど、ちょっとした知り合いなの。」
「七瀬さんと…金田一君の同級生ですかね?2人とは知り合いでね。」
春葉にとってもよく知る名前が出てきて、更に驚く。自分たちのような高校生とは全く住む世界が違う、親の年代でもない、兄弟にも中々いないであろう年代。学校で接する教師以外の「大人」と、同級生の美雪が知り合いだというのだ。それもこんなに見目麗しい男性が。
どんな風に話していても耳心地がよく、落ち着いた声。ただ雑然としていた周りの色も、音も、明智の姿と声だけは特別な輝きを持っていた。