ライラックが散るまで:6
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泣いている春葉を落ち着けるように、明智が肩を撫でる。少しその涙が落ち着いた頃、明智が切り出す。
「それから、貴方がペンを返してくれたとき、添えてくれたメッセージカードですが…」
「…っ」
彼と初めて再会できたときの、あのペンを返したときのことだ。
今この場でされるその話に、少し思い当たることがあり、春葉の心臓が一気に鼓動を早める。
「高校生が選ぶにしては少し大人びた絵柄だと思い、少し違和感があったので調べたんです。あれはライラックの花なんですね」
春葉は明智がそのことについて話すのをまさかと思ってじっと聞いていたが、彼が既に確信を掴んでいることに気がついて、恥ずかしい気持ちになった。
「良い花言葉ですね。今の貴方そのものだ」
メッセージカードに添えられた、紫と白のライラック。
想いをうまく伝えられない、自分なりの少しだけ意趣を込めた絵。
「もしかしたら貴方はこの紫のライラックに意味を込めたのかもしれませんが…私には白い色の花言葉のほうが強い印象を受けましたね」
明智の言う通りだった。
春葉が意図したのは、紫のライラックと、その花言葉。
しかし、市販されているメッセージカードには、白いライラックも一緒に描かれていた為、仕方ないと思いつつの選択だった。
あのとき、カードを書きながら何度も読み返したライラックの花言葉。
今だって、すぐに頭に浮かぶ。
春葉が意味を込めた、紫のライラックは「恋の芽生え」「初恋」を意味している。
明智が印象に残ったと言った、白のライラックは「青春」「無邪気」。
「…この花は…私には少し似合わない気がします」
明智が少し、申し訳なさそうに笑った。
「私の目に浮かぶ、このライラックが散るまで…恋人の席を空けて待っていますよ」
生まれたての朝の風が吹いた。
明智は春葉の手を包むように握り、大事な約束を交わした。
-fin-
「それから、貴方がペンを返してくれたとき、添えてくれたメッセージカードですが…」
「…っ」
彼と初めて再会できたときの、あのペンを返したときのことだ。
今この場でされるその話に、少し思い当たることがあり、春葉の心臓が一気に鼓動を早める。
「高校生が選ぶにしては少し大人びた絵柄だと思い、少し違和感があったので調べたんです。あれはライラックの花なんですね」
春葉は明智がそのことについて話すのをまさかと思ってじっと聞いていたが、彼が既に確信を掴んでいることに気がついて、恥ずかしい気持ちになった。
「良い花言葉ですね。今の貴方そのものだ」
メッセージカードに添えられた、紫と白のライラック。
想いをうまく伝えられない、自分なりの少しだけ意趣を込めた絵。
「もしかしたら貴方はこの紫のライラックに意味を込めたのかもしれませんが…私には白い色の花言葉のほうが強い印象を受けましたね」
明智の言う通りだった。
春葉が意図したのは、紫のライラックと、その花言葉。
しかし、市販されているメッセージカードには、白いライラックも一緒に描かれていた為、仕方ないと思いつつの選択だった。
あのとき、カードを書きながら何度も読み返したライラックの花言葉。
今だって、すぐに頭に浮かぶ。
春葉が意味を込めた、紫のライラックは「恋の芽生え」「初恋」を意味している。
明智が印象に残ったと言った、白のライラックは「青春」「無邪気」。
「…この花は…私には少し似合わない気がします」
明智が少し、申し訳なさそうに笑った。
「私の目に浮かぶ、このライラックが散るまで…恋人の席を空けて待っていますよ」
生まれたての朝の風が吹いた。
明智は春葉の手を包むように握り、大事な約束を交わした。
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