ライラックが散るまで:6
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「入りますよ」
「っ!」
その声は間違えようもない。
すぐに明智だとわかる。
とうとう来てしまったと、胸をじりじりと焼くような焦燥感と、恐ろしいまでの不安に手に汗が滲む。
「目を覚ましたんですね」
あくまでも普段と変わらない声色の彼。ろくに顔を見ることもできずに俯くが、明智が近づいてくるのがわかって、身体が一層固くなってしまう。
金田一、あるいは誰でも良いから、すぐにでもこの病室へ入ってきてくれと小さく願う。2人きりの状況が今は耐え切れないと思うほど辛かった。
しかし、春葉の願いは虚しく、明智は真っ直ぐにベッドのそばまで来て、先ほどまで金田一が座っていた椅子に腰をかけた。
「…」
少し嫌な沈黙が続く。
こんなとき、声のでない自分は少しずるいかもしれないと思いつつ、生まれて初めてこのことを有難いと思ってしまった。
「…春葉さん」
「…」
物々しく口を開く明智に緊張は頂点に達していた。今度はどんな厳しい言葉が彼の口から飛び出すのだろうと思いながら、布団の下で固く拳を握った。
「ひとつ…確認したいことがあるのですが…」
「…」
「…本来は私の口から聞くべきではないことだと承知の上なのですが…対応できる婦警がいないそうなので…」
「…?」
身構えていたような厳しい言葉もなければ、声色も至って普段と変わらない。詰問するというよりは、何か言い出しづらそうな雰囲気の明智に面を食らう。
「医者は貴方に特に怪我がないと言っていましたが…本当ですか?」
いまいち彼の言いたいことが掴みきれない、歯切れの悪い言い方に虚を突かれて、先ほどまでの緊張が解れる。
「怪我」という単語に心当たりがない春葉は、明智が何を心配して、確認したいのかがわからなかった。
春葉の不思議そうな顔をどう受け取ったのか知らないが、明智の口調が次第に重苦しいものへと変わっていく。
「その…霧島という男に何かされなかったか、ということなのですが…」
「…!」
「っ!」
その声は間違えようもない。
すぐに明智だとわかる。
とうとう来てしまったと、胸をじりじりと焼くような焦燥感と、恐ろしいまでの不安に手に汗が滲む。
「目を覚ましたんですね」
あくまでも普段と変わらない声色の彼。ろくに顔を見ることもできずに俯くが、明智が近づいてくるのがわかって、身体が一層固くなってしまう。
金田一、あるいは誰でも良いから、すぐにでもこの病室へ入ってきてくれと小さく願う。2人きりの状況が今は耐え切れないと思うほど辛かった。
しかし、春葉の願いは虚しく、明智は真っ直ぐにベッドのそばまで来て、先ほどまで金田一が座っていた椅子に腰をかけた。
「…」
少し嫌な沈黙が続く。
こんなとき、声のでない自分は少しずるいかもしれないと思いつつ、生まれて初めてこのことを有難いと思ってしまった。
「…春葉さん」
「…」
物々しく口を開く明智に緊張は頂点に達していた。今度はどんな厳しい言葉が彼の口から飛び出すのだろうと思いながら、布団の下で固く拳を握った。
「ひとつ…確認したいことがあるのですが…」
「…」
「…本来は私の口から聞くべきではないことだと承知の上なのですが…対応できる婦警がいないそうなので…」
「…?」
身構えていたような厳しい言葉もなければ、声色も至って普段と変わらない。詰問するというよりは、何か言い出しづらそうな雰囲気の明智に面を食らう。
「医者は貴方に特に怪我がないと言っていましたが…本当ですか?」
いまいち彼の言いたいことが掴みきれない、歯切れの悪い言い方に虚を突かれて、先ほどまでの緊張が解れる。
「怪我」という単語に心当たりがない春葉は、明智が何を心配して、確認したいのかがわからなかった。
春葉の不思議そうな顔をどう受け取ったのか知らないが、明智の口調が次第に重苦しいものへと変わっていく。
「その…霧島という男に何かされなかったか、ということなのですが…」
「…!」