ライラックが散るまで:5
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「そうそう、これ見てよ!何かわかる?」
焦る明智を余所に、霧島は暢気な声で明智に話しかける。布のようなものを高く持ち上げて、ちからつかせている。最初は何を見せているのかわからなかったが、その正体に気づいたとき、明智は霧島に向かって引き金を引いていた。
「お~、こわいね」
余裕で弾を躱す霧島。ひらひらと見せ付けるように見せているその布は、明智の記憶の中にある春葉の洋服と同じものだった。
「顔真っ赤にしててさぁ…楽しかったよ。見かけによらず、発育も良かったし」
挑発するような笑い。
明智の頭の中に、無邪気に笑っていた春葉の姿がちらついた。霧島の言葉と、彼が持っている洋服の切れ端。あの少女がまさか、とひとつの可能性を考えると霧島への怒りで銃口が定まらない。
「俺を相手にするよりさ、早く助けてあげたら?ま、もしかしたら見つけたときには黒焦げかもしれないけどさ。待ってたってこれ以上のヒントなんかあげないからさ、動くしかないよ?せいぜい生きている間に助け出せるようにがんばってね♪」
「くそっ」
ひらひらと明智に手を振る霧島。この男を見逃すことに多大な屈辱を感じつつも、今は一刻を争う。これ以上手がかりがないのであれば、とにかくひとつひとつ当たるしかないのだ。
そう判断した明智は走り出した。
炎が広がる中駆け出す明智の背中に、霧島はざまぁみろと言葉を投げかけるとポケットの中で着信している携帯を取り出した。
「ーもしもし?あ~…そっちは駄目だったかぁ。まぁ、詰めの甘そうなやつだったからな。こっち?今いいところだよ♪」
霧島は取り出した携帯電話で高遠とここから離れる手順を打ち合わせる。
霧島から一番近いところにあるプレハブ小屋。春葉がいるその小屋が炎に包まれていくのを見ながら、再び彼は高く笑った。
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