ライラックが散るまで:5
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「やっぱりアンタ相手にはもっと念入りに細工するべきだったな。でも急遽予定変更をした割には、うまいこと調整したほうだと思うけど」
「春葉さんはどこだ?」
明智の問いかけに対して、何でも無いように「アレか」と応える霧島に明智の眉が顰められる。
「確かにあの小屋のどれかにいるよ。本来なら、時間内に謎を解いて辿り着いた明智先輩へのご褒美に教えてあげるはずだけど…」
明智が睨んでいた暗闇が突然照らされる。そこには、明智と同じように懐中電灯を持った霧島が見えた。その方向に向けて明智が銃を構えると同時に、霧島の不敵な笑顔が薄暗い森の中、鮮明に見えた。
「最初からこうするつもり♪」
瞬間、大きく空気が震えた。次に感じたのは爆音。一寸先もわからなかったような暗闇が鮮明になるほどの強い光に覆われた。
「!?」
「さすが森の中!よく燃えるなぁ!」
どよめく爆音の中、霧島の高笑いがつんざくように響く。明智は「春葉がいるかもしれない」小屋が次々と炎に包まれていくのを見た。
「霧島!どういうことだ!」
「はじめからゲームをするつもりはなかったってこと。ルールや約束をきちんと守るような倫理観のある男だと思ってた?」
「くそっ」
火の回りが早い。でたらめに端から順番に確認していけば、春葉を助け出せない可能性がある。春葉がどういう状況で捕らえられているかわからないが、もし手足を縛られていれば、建物の内部から自分の存在を知らせる術を春葉は持たない。
明智がずっと恐れていた事態に、焦りが増していく。