ライラックが散るまで:5
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「この場所で間違っていないはず…」
明智はこれまでに見つけた手がかりを見ながら、ひとり呟いた。あの後、春葉の部屋から見つけた霧島からの謎解きメッセージを辿り、ようやく着いた場所。
宿泊施設の建物から少し離れた、従業員だけが使用するプレハブ小屋が点在する地帯。まさか宿泊施設の建物以外に、このような場所があるとは思わなかった明智は、ホテルの従業員の話を聞いて驚いた。
簡易的な事務所として今もなお使用しているものもあれば、倉庫として使用しているもの、エントランスにある暖炉で使用する木材置き場など、用途は様々だという。中には使われていないものもあるようだ。
しかし、宿泊施設のある建物から少し離れたこの場所は、夜になると懐中電灯が無ければ来た道を見失ってしまうほど暗かった。また、森を簡単に切り開いて作られている為、小屋から小屋へ移動するには足場が悪く、一番近い小屋へと移動すると言っても数分かかるだろう。
そのため、従業員も使用するのは昼の間のみで、夜になれば皆近づかないようにしているようだった。
しかし、ここにある5、6個ほどあるプレハブ小屋のどこかに春葉がいるはずだった。
もしかしたらもう少し手がかりを探して絞ることができるかもしれない、と明智は辺りを見渡した。
「どこを探しても次の手かがりはないぜ」
「!」
暗闇の奥から声がして、明智は辺りを照らした。しかし、声の主は見つからず、すぐにその明かりを消す。声の主が誰かは明瞭だった。
「…」
「さすが。早かったね、明智せ・ん・ぱ・い。」
「先輩と呼ばれる筋合いはありませんよ」
「冷たいねぇ。同じ秀央高校の特Aクラス出身だって言うのに」
ケラケラと笑う声。どこにいるのか大体の方向はわかるのだが、外灯などない場所では、霧島の姿も距離感も掴むことができなかった。
不用意に明智がライトを使えば、好戦的な霧島に自分の位置を教えることになってしまう。
今までとは違う緊張感で、明智は拳銃を取り出した。