ライラックが散るまで:4
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「霧島。なんですか、それは」
「え~?俺が来るってことはどういうことか知ってるだろ?」
「私の邪魔をしたいのですか」
「そんなつもりないって!捜査も撹乱するから手伝ってると言ってもいいぜ」
「そんなことを頼んだ覚えはありませんが」
男性2人の話し声で、徐々に意識が覚醒していく。春葉は全身の不自由を感じると同時に、両手首と足首が縛られていることにすぐさま気がついた。鮮明になっていく視界で、周りを見渡す。小さな部屋のようだが、春葉が見たホテルの部屋とは少し違う。ワンルームのリビングのような作りで、飾り気のないテーブルや椅子が客が泊まるような部屋ではなく、簡素な事務所のような部屋だということを表していた。
春葉が横になっているソファから少し離れたところでは、男性2人が椅子に腰をかけている。1人は先ほど春葉の元へ現れ、死神マジシャンだと名乗った男。もう1人は初めて見る、スーツに身を包んだ男性だった。
悪い夢だと思いたいが悲しいほど意識ははっきりしていて、嫌な予感に鎮まっていた心音が徐々に高まっていく。頭の中で色々な考えを巡らせるが、手足を拘束されているような状態。武器になるようなものもなければ、相手は成人男性2人だ。よっぽどの策でなければ、抵抗も逃亡も全く無意味なものだろう。
「あ、起きた」
「…」
ソファの上で起き上がった春葉に死神マジシャン・霧島が気づく。もう1人の男性が一体誰なのか春葉にはわからなかったが、助けてくれるような人物ではないことは確かだ。
「何故猿轡を噛ませないのですか?騒がれたら面倒でしょう」
「あ~その必要がないんだよね~」
「どういうことですか?」
「声がでないんだって」
さも楽しそうに話す男。春葉の特殊な事情に、このように楽しそうな顔をする人間は過去に1人もいなかった。その様子だけで、霧島という男がいかに春葉の常識からズレているのかがわかってしまう。
「ほんと、バカだよな~。お前みたいな普通の人間以下のやつが事件予告現場に来てさ。危機感ゼロ?どころかマイナスかな?」
「…っ」
近づいてくる霧島に明け透けに指摘をされて顔が赤くなる。今この状況がまさしく目の前の男の言う通りであり、何の弁解も無い。ホテルのロビーで明智に言われた言葉が蘇ってくるようで胸が痛かった。
「あのむかつく警視様にも言われてただろ?ま、俺としては予定していたよりもすご~く面白いことになりそうだから君が来てくれて超嬉しいんだけど♪」
にこやかに微笑んでいるが、彼の「面白いこと」が良いことには到底思えない。目の前の男が春葉も知っているあの「死神マジシャン」であれば、自分がどういう状況なのかは春葉にもわかっていた。
今は春葉が生きるも死ぬも、目の前の男の思うがままで、その一挙一動が自分の数秒先の未来を決めてしまう。
そんな春葉の心境を知ってか、霧島は観察するように春葉の顔を覗き込んだ。
「霧島。なんですか、それは」
「え~?俺が来るってことはどういうことか知ってるだろ?」
「私の邪魔をしたいのですか」
「そんなつもりないって!捜査も撹乱するから手伝ってると言ってもいいぜ」
「そんなことを頼んだ覚えはありませんが」
男性2人の話し声で、徐々に意識が覚醒していく。春葉は全身の不自由を感じると同時に、両手首と足首が縛られていることにすぐさま気がついた。鮮明になっていく視界で、周りを見渡す。小さな部屋のようだが、春葉が見たホテルの部屋とは少し違う。ワンルームのリビングのような作りで、飾り気のないテーブルや椅子が客が泊まるような部屋ではなく、簡素な事務所のような部屋だということを表していた。
春葉が横になっているソファから少し離れたところでは、男性2人が椅子に腰をかけている。1人は先ほど春葉の元へ現れ、死神マジシャンだと名乗った男。もう1人は初めて見る、スーツに身を包んだ男性だった。
悪い夢だと思いたいが悲しいほど意識ははっきりしていて、嫌な予感に鎮まっていた心音が徐々に高まっていく。頭の中で色々な考えを巡らせるが、手足を拘束されているような状態。武器になるようなものもなければ、相手は成人男性2人だ。よっぽどの策でなければ、抵抗も逃亡も全く無意味なものだろう。
「あ、起きた」
「…」
ソファの上で起き上がった春葉に死神マジシャン・霧島が気づく。もう1人の男性が一体誰なのか春葉にはわからなかったが、助けてくれるような人物ではないことは確かだ。
「何故猿轡を噛ませないのですか?騒がれたら面倒でしょう」
「あ~その必要がないんだよね~」
「どういうことですか?」
「声がでないんだって」
さも楽しそうに話す男。春葉の特殊な事情に、このように楽しそうな顔をする人間は過去に1人もいなかった。その様子だけで、霧島という男がいかに春葉の常識からズレているのかがわかってしまう。
「ほんと、バカだよな~。お前みたいな普通の人間以下のやつが事件予告現場に来てさ。危機感ゼロ?どころかマイナスかな?」
「…っ」
近づいてくる霧島に明け透けに指摘をされて顔が赤くなる。今この状況がまさしく目の前の男の言う通りであり、何の弁解も無い。ホテルのロビーで明智に言われた言葉が蘇ってくるようで胸が痛かった。
「あのむかつく警視様にも言われてただろ?ま、俺としては予定していたよりもすご~く面白いことになりそうだから君が来てくれて超嬉しいんだけど♪」
にこやかに微笑んでいるが、彼の「面白いこと」が良いことには到底思えない。目の前の男が春葉も知っているあの「死神マジシャン」であれば、自分がどういう状況なのかは春葉にもわかっていた。
今は春葉が生きるも死ぬも、目の前の男の思うがままで、その一挙一動が自分の数秒先の未来を決めてしまう。
そんな春葉の心境を知ってか、霧島は観察するように春葉の顔を覗き込んだ。