ライラックが散るまで:4
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「明智警視!」
「明智さん!佐倉は!?」
「一足遅かったようです…」
「遅かったって…まさか高遠が!?」
「違いますよ。高遠は無関係な少女をどうこうするヤツじゃない」
「それじゃあ…」
明智は深く息をついてから、持っていたカードを金田一達に見せた。それを見た金田一と剣持の目が大きく見開かれる。
「これって…まさか!」
「死神マジシャンですよ。霧島がここに来ている」
春葉が部屋から消え、このカードが残された意味。それがどのような意味を持つのか明智たちは過去の経験からよく知っていた。
「彼女は…春葉さんのような人間はこういうときに一番弱い立場なんです…!何かがあっても助けを求めることができない…!」
絞り出すような明智の声。悔しげに握り込まれる明智の拳を見て、金田一は全てを悟った。明智が最初に美雪を連れてこないで欲しいと言ったこと、そして先ほどのホテルのロビーでのこと。全て明智が彼女たちを守ろうとしていた為だった。
「高遠と同じように、霧島からも警察に犯行予告が届いていました。複数箇所指定があり、その中にここも指定されていました。まさか高遠と同じタイミングで来るとは…」
「高遠の事件と何か関係があるのか?」
「…それはまだわかりません…」
しばし、重たい沈黙が流れる。大きな不安と焦燥感が、明智、金田一、剣持の3人に襲いかかった。死神マジシャンである霧島純平は、高遠と同じ犯罪者だが警戒レベルも世間からのイメージも高遠とは異なる。高遠は殺人教唆が主たる行動だが、霧島は違う。無きに等しい動機でゲームのように人を殺す。内容はいつも異なるが、心身ともに拷問に近いような苦痛を伴うものが殆どだ。彼のデスゲームに、過去生存した人間のほうが少ない。
金田一は、過去に会ったことがある霧島純平の顔を思い浮かべた。普通にしていると人好きのする笑顔の好青年だ。しかし、その裏に潜む恐ろしく残忍な思考、言動は常軌を逸している。同じ犯罪者といえど、金田一には高遠のほうがまだ話がわかる相手のような気がした。それくらい霧島は自由で、女や子どもが相手でも何をするかわからない。そんな霧島のデスゲームの中に今いるのが、クラスメイトの春葉ということは受け止めたくない現実だった。
「でも…死神マジシャンなら…すぐには殺さない。早く佐倉を見つければいいんだ!」
力の籠った金田一の言葉に明智と剣持の表情が動く。こうしている暇はない、ということを3人が顔を見合わせて再認識した直後だった。
「キャアアアアア!」
「なんだ!?」
「まさか…!」
突如上がった悲鳴のほうへ3人が向かうと、駆けつけた部屋には血溜まりに沈む人間の身体が横たわっていた。