ライラックが散るまで:3
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「…春葉さん、それは本当ですか?」
びくり、と心臓が身体の中で跳ねる。明智が真に言いたいことが透けて見えるような発言に思わず唇が結ばれる。本当だということを肯定するように、もう一度小さく頷く。しかし、ちらりと伺った明智の表情に固まってしまった。
怒っている。
途端に吹き出してくる汗。誰が見ても明らかなその態度に途端に息が苦しくなり始める。明智の唯ならぬ様子に、金田一も剣持も口が出せないようだった。
「…貴方は金田一君…そして"警察"関係の我々が来ることを知っていて来たのですか?」
「…」
警察関係の、と付け加える明智は今の自分が「どういう立場」なのかを誇張していた。首を縦にも横にも触れずに恐怖に固まっていると、明智が一歩春葉に近づいた。
「浅はかな行動は慎みなさい!今すぐ街へ戻るんだ!」
「…っ!」
ロビー内の空気を変えてしまうほど荒く、大きな声で叱責されて全身が固まる。何か言わなければという焦りや不安に襲われるが、こんなときに咄嗟に言葉を出すことを春葉はできない。何より春葉に優しかった明智に怒鳴られたことで頭の中がぐらぐらと揺れ始める。言われたことと状況を全部理解できないほど困惑していた。
「…麓までの送迎バスはもう無い。私の車で送るので今すぐ準備をしなさい。」
「~っ!」
鋭い声色で「帰れ」と促され、いてもたってもいられなかった。言われたこととは反対に、春葉はホテルの中へと走り出してしまった。金田一や剣持が後ろから呼び止めるが、それは何の意味もなかった。