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ライラックが散るまで:3

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※短編「死神救世主」使用。結婚相手の苗字。

「え、あ、あれぇ!?」
「金田一君?どうかしましたか?」

明智の問いかけに返事もせず、金田一は駆け出す。

佐倉!?」
「…」

金田一に声をかけられると春葉は視線を彷徨わせた。春葉の周囲には誰にもおらず、1人のようだった。

「お前…何しに来たんだよ…!」
「…」

当然の金田一の質問に対して、春葉は一枚のチラシを見せた。それは金田一が持っていたチラシと全く同じものだった。それから春葉はメモ帳にペンを走らせると、そのページを金田一に見せる。

「興味があって…って…」

こくり、と控えめに春葉が頷く。その返事に金田一が深く重たいため息をを吐くと頭をガリガリと掻いた。

「まぁ仕方ないか…送迎バスももう終わってるみたいだし…あのな、このホテルにいる間はなるべく俺らと一緒にいろよ。」
「…。」

金田一の言葉に春葉は再び小さく頷く。捜査協力で金田一が来ているということは知っていたので、何かしら調査することがあるのだろうとは思っていた。言われるがままに頷いたが、何故金田一が「なるべく一緒にいろ」と言ったのかは春葉にはまだよくわかっていなかった。それよりも、金田一の言った「俺ら」という言葉に密かに本当の目的である人物の予感を感じていた。

「…今日は何が起こるかわからないからちょっと警戒してるんだよ。」

そう言う金田一は、学校では見ることのない真剣な表情をしていた。その表情を見たときに、蓋をしていた危機感というものが少し顔を出したような気がした。

「…春葉さん?」
「き、君は佐倉君じゃないか!」

金田一の後を追って、春葉に声をかけてきたのは明智と剣持だった。忘れもしないその声に春葉の身体がわかりやすく跳ねる。そして明智と剣持の2人も春葉の存在には驚きの声をあげた。

「この楽団の演奏会に興味があったんだってよ。」

説明に時間のかかる春葉の代わりに金田一が答えると、それを肯定するように春葉は首を縦に振った。4人の間の空気が淀み、急に重たくなったのを感じた。

嫌な間があったこと、一瞬。
口を開いたのは明智だった。
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