ライラックが散るまで:3
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「さぁ、着きましたよ。」
「本当に山の中なんだなぁ…このホテル以外近くには何もないな…」
「これだけ山奥にあると、夜になったら外を歩けたものじゃないな。」
金田一と明智、そして剣持の3人が車を降りると山の上の冷たい風が吹き抜けた。ターミナル駅から数時間近く車を走らせてようやく辿り着いた場所。日中は殆ど移動だったが、時刻は既に昼を過ぎていた。道中擦れ違う車は殆どなく、ホテルまでの送迎バスも既に終わっているようだった。宿泊予定の客達は殆どがチェックインを済ませているようで、身軽な格好をした人たちがホテルのロビーで談笑をする姿が見られる。
「どうやら彼らが今晩、このホテルの小ホールで演奏を行う地元の楽団ですね。ある大学のOBOGで構成されているのですが、毎年この場所を借りて演奏会を行っています。」
「へぇ~」
「今日宿泊している客の殆どは彼らの親戚や友人などで、演奏を聴く為にここに集まっているようですね。まぁ、中には全く関係のない一般客もいますが…極少数です。」
「どこに高遠が絡んでるのかはわからないけど…あらかじめ来る予定だった客達がまず怪しいな。」
3人は年代も様相も違う男女のグループを見つめていた。地獄の傀儡師が送ってきた予告状によれば、彼らの中によからぬ思惑を抱えている人間がいるかもしれない。もしくは、あの中に高遠が紛れている可能性もあった。見つめる視線も自然と鋭くなり、緊張感が宿る。金田一がすっかり黙ってしまった明智を見ると、彼の表情はいつも以上に堅かった。
「…明智さん?」
高遠から予告状をもらって予告現場へと赴くことは過去にも何度もある。しかし、今回はいつにも増してあの明智が警戒しているような気がした。
「…そろそろ明智さんの不安の種について教えてくれてもいいんじゃねぇの?」
ずっと切り出したかったことを金田一が明智に尋ねる。わざわざ念を押して美雪に「来るな」と言ったこと。そして今の明智の様子。きっと彼が何かしらの不安要素を抱えているのだということはよくわかった。
「…そうですね…確信も持てたので、貴方には伝えるべきでしょう。」
「…」
あの明智がここまで慎重を期して切り出す内容に自然と聞く側にも力が入る。小さく息を飲み込むと同時に、ロビー奥から出てきた人影が目に入り、金田一は思わず大きな声をあげた。
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「さぁ、着きましたよ。」
「本当に山の中なんだなぁ…このホテル以外近くには何もないな…」
「これだけ山奥にあると、夜になったら外を歩けたものじゃないな。」
金田一と明智、そして剣持の3人が車を降りると山の上の冷たい風が吹き抜けた。ターミナル駅から数時間近く車を走らせてようやく辿り着いた場所。日中は殆ど移動だったが、時刻は既に昼を過ぎていた。道中擦れ違う車は殆どなく、ホテルまでの送迎バスも既に終わっているようだった。宿泊予定の客達は殆どがチェックインを済ませているようで、身軽な格好をした人たちがホテルのロビーで談笑をする姿が見られる。
「どうやら彼らが今晩、このホテルの小ホールで演奏を行う地元の楽団ですね。ある大学のOBOGで構成されているのですが、毎年この場所を借りて演奏会を行っています。」
「へぇ~」
「今日宿泊している客の殆どは彼らの親戚や友人などで、演奏を聴く為にここに集まっているようですね。まぁ、中には全く関係のない一般客もいますが…極少数です。」
「どこに高遠が絡んでるのかはわからないけど…あらかじめ来る予定だった客達がまず怪しいな。」
3人は年代も様相も違う男女のグループを見つめていた。地獄の傀儡師が送ってきた予告状によれば、彼らの中によからぬ思惑を抱えている人間がいるかもしれない。もしくは、あの中に高遠が紛れている可能性もあった。見つめる視線も自然と鋭くなり、緊張感が宿る。金田一がすっかり黙ってしまった明智を見ると、彼の表情はいつも以上に堅かった。
「…明智さん?」
高遠から予告状をもらって予告現場へと赴くことは過去にも何度もある。しかし、今回はいつにも増してあの明智が警戒しているような気がした。
「…そろそろ明智さんの不安の種について教えてくれてもいいんじゃねぇの?」
ずっと切り出したかったことを金田一が明智に尋ねる。わざわざ念を押して美雪に「来るな」と言ったこと。そして今の明智の様子。きっと彼が何かしらの不安要素を抱えているのだということはよくわかった。
「…そうですね…確信も持てたので、貴方には伝えるべきでしょう。」
「…」
あの明智がここまで慎重を期して切り出す内容に自然と聞く側にも力が入る。小さく息を飲み込むと同時に、ロビー奥から出てきた人影が目に入り、金田一は思わず大きな声をあげた。