フラグは突然に
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『イデアーーー!!』
「ひぃ…っ!」
授業が終わりさっさと自室に戻って今イベを進めるために引きこもろうと立ち上がった瞬間、同じボードゲーム部の部員であるユウ氏が教室の入口から大声で叫ぶ
当然、周りから注目を浴びることになり今すぐ逃げだしたい
なるべく周りの視線を見ないよう俯きながら早歩きでユウ氏の元へ行く
「…大声で呼ぶとか周りから注目されるような事はやめて欲しいと以前にも言ったと思うんですけど?」
『今日オンラインゲームのイベント始まる日だよね!一緒にパーティ組もっ!!』
「うわーシカトですか、これだから陽キャは人の話聞かないから嫌いだよ
自分の為に世界が回ってると思ってるよ絶対」
『え、ウケる。思ってないけど』
「そこは答えるんだ…」
『私さー動画サイトとかまとめサイト見て勉強もしたしー、レベ上げもガチで頑張ったから』
ユウ氏は確かに僕と同じオタクではあるけれどもオタクの中にも段階があるわけで
まだ知り合ってから数か月だけど、拙者のオタクトークに付いてこれるレベルじゃない
つまりは一般人と殆ど変わらないわけで
そんなオタク度で頑張ったと言われても同じステージではないでしょう
「それは凄い!何レベまで?」
少し皮肉を込めて言うと、ユウ氏は携帯のゲーム画面を開いて笑顔で見せてきた
『158!』
「へぇ~158……えっ」
笑いながら聞いてたが一瞬で真顔になってしまう
「え、冗談ですよね?だってまだリリースされてから2か月経ってないからガチ勢が寝ないで回すくらいじゃないとそのレベルに行くはずないと思うんですけど…」
『いやふつーに寝てるけど?有難いオート機能あるから寝る前に体力回復アイテム使ってHP上げれるだけ上げてオートで寝てる間にレベ上げしたって感じ』
「は?いやいやだって公式からの餌少ないのに」
『そこはもち、無理のない課金っしょ~~』
…は?
絶対せいぜいLv50くらいだと思ってたのに僕のLv120より高いって何それ
こんなパンピーに負けたとか信じられないんですけど
いやしかし、確かにこのレベルにこの装備…
このゲームに関してはガチ勢と認めてもいいかもしれない
今イベのレア装備を完凸するためには組むのは有りと見た
「ユウ氏、パーティ組んでもいいですけど…」
『マジ?やった!』
ゲーム中に邪魔されるのは萎えるどころか殺意が湧くので、完全防音・セキュリティ対策万全の拙者の専用ルームでプレイすることになった
『あっイデア、敵そっちいった』
「了解」
『真ん中に補給アイテム置いとくから』
「承知」
『回復すっから廃墟の2階来て』
「…ユウ氏、中々やるでござるな」
画面を見ながら手元が狂わない程度に会話する
『えっイデアに褒められるとか初なんだけど』
「陽キャは基本好きじゃないんで正直避けてましたけど何か」
『いや言うほど私、陽キャじゃないし』
「いやいやいや陽キャはそうやって懐柔してこようとするけど騙されませんぞ」
『や、マジで』
「ユウ氏が陽キャじゃないとなると陰キャ代表である拙者はもはや陰キャどころか燃えないゴミですか塵ですか」
『あのさぁ…』
「ひっ…!」
陽キャから出る怖い発言ランキング上位5位の"あのさぁ"が出た!絶対これから何か酷い事言われるパターンですよね分かります
大体分かってる
この後に続く言葉は”なんでそんなネガティブなの”とか"友達居ないでしょ"とか平気で包丁刺してぐりぐりと傷口拡げるようなそんな言葉なんだ
『私こんな見た目と喋り方なのもあって親とか教師とか友達からも見放されたことあって…』
「えっ」
拙者に対する悪口じゃない…
というか自分語り始まったんですけど!
『昔はもっと尖ってたし、今思えば私が悪かったんだけど…』
いや見た目は今もちょっと怖いですけど
どう見てもギャルですよね
平気で死ねとかキモいとか言いそうですもん怖い怖い怖い
『そん時は病んじゃって誰とも会いたくないし喋りたくなくなってゲームの世界に逃げたの』
「おおおお…その気持ちなら分かりますぞ
現実世界は怖いことが多い、しかし2次元はいつでも素晴らしいエンターテイメントで心を癒してくれる空間」
『あはは、そう!そんな感じ!
…でさぁ、"ラストストーリー13"ってオンラインゲームにハマったの』
「ラストストーリー13…?」
僕もめちゃくちゃ好きで寝る間も惜しんで勤しんだゲームだ
ユウ氏があのゲームをやっていたなんて意外だ
『その時固定パ組んでくれた人がね、私がどんなにミスしてもいつも励ましてくれて助けてくれてチャットで優しい言葉も掛けてくれたりして…
ゲームの世界なの分かってるけど涙出た、嬉しかったんだ』
「ゆ、ユーザーマナーは大事ですもんね…」
僕は今、何の話をされてるんだろう
『"idea1218"』
「えっ!!」
『私、"tapi_02"』
「え、え…じゃあ今の話って僕…」
『そ、ありがとね!』
ニッと昔を思い出してか少し潤んだ瞳を細めて笑う彼女に心臓が跳ねた
え、え、え…
何これフラグ……?
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