折り紙の鶴
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私の夢はアイドル
それもただのアイドルではなくて、誰もが私の春歌を知っていると言えるくらいの有名なスーパーアイドルになるのが私の夢
今はようやくそのアイドルへの第1歩を踏み出せたところ
シャイニング事務所のシャイニー社長に認めて貰えて、新人アイドルとして売り出し始めている真っ最中
売り込む為にどんな仕事でも引き受けて頑張ります!!
(……って確かに言ったけど
よりによってなんで愛島セシルと一緒にバラエティをやることに…)
「春歌、一緒に仕事が出来て嬉しいです。よろしくお願いします」
(なんで…)
正直、愛島セシルは苦手だ
聞けばアグナパレスという国の本物の王子様らしい
本物の王子様がわざわざ日本に来て、なんでアイドルやってるの?
道楽のつもり?
私は本気なのに……社長も私が苦手だって分かっててわざと組ませたわね
社長が気付いてないはずないもの
『こちらこそよろしく!私も一緒に仕事出来て嬉しいわ!』
営業用スマイルでニコッと笑った
例え苦手な人が仕事仲間になっても顔に出してはいけない
アイドルは評判も大事。仕事だって評判を聞いて入ってくる
決していつ何時も気を抜いてはいけない
完璧な笑顔のはずだった
「疲れているのですか?」
『え…』
「目が笑っていない、カミュと同じ」
とびきりの営業スマイルに返ってきたのは予想外の言葉だった
(カミュと同じって…あのカミュ先輩のこと?コイツ先輩を呼び捨てにしてんの?ううん、それより…)
目が笑ってない、なんて初めて言われた
いつも皆この笑顔を見せれば簡単に騙されて、私が好意を抱いてるって勘違いする人も多くて…
笑顔を作っとけば全て上手くいく
そんな風に思ってたのに……
「疲れてるのなら無理をしてはいけませんよ?」
『だ…大丈夫よ!』
「そうですか?では台本の読み合わせをしませんか」
『え…読み合わせって今から?』
「YES。少しでもお客さんに楽しんで貰えるように頑張りましょう」
『……』
お芝居と違って、バラエティはアドリブが多い
アドリブによってアイドルの素顔を見ることも出来るけど、大抵の場合は緊張して咄嗟に上手く言葉が出てこなくて失敗する
だが、バラエティはそんな失敗も許される
つまらなければカットされるだけだ
(もしかして会場にいるお客さんにもっと楽しんで貰えるように…?もう時間もそんなにないのに…?)
大抵皆、番組が始まるまでの時間はリラックスタイムやメイクを直したりに使う
私もこのくらいの時間にはいつも化粧や衣装の最終チェックをする
直前ギリギリまでお客さんを楽しませるために、と時間を割くアイドルは中々いない
(この人…私よりずっと真剣かもしれない)
*****
番組が終わって楽屋に戻る
(なんだろう、今日はいつもよりスラスラ言葉が出てきて順序よく進めていけた…途中で詰まることもなく時間配分もちゃんと出来た。台本の読み合わせしたから…?)
コンコンッー
ドアをノックして愛島セシルが入ってきた
「春歌」
『ちょ、ちょっと!返事する前に開けたらノックの意味ないでしょ!』
ノックの後間髪入れずに部屋に入ってきたことに驚いて、つい素が出てしまう
(あ、しまった…)
「Oh、そうでした。ごめんなさい」
セシルは私の態度を気にする様子もなく、素直にぺこりと頭を下げて謝った
(…調子狂うなぁ)
『な、何か御用ですか?』
「これをアナタに」
すっと差し出されたものを困惑しながらも受け取る
『……折り紙の鶴?』
「日本では千羽鶴を作って願い事をすると聞きました」
『? なんで私に?』
「春歌が元気になりますようにと願いを込めてみました。ワタシは鶴を折るのがあまり上手ではない。だから一羽しか折れませんでしたが、沢山気持ちを込めました」
『わ、私のために…?』
にこっと微笑むセシルの笑顔にじわりと胸が熱くなった
(今日初めて会った私を心配して…自分も番組が終わったばかりで疲れてるはずなのにわざわざ私の為に鶴を折って持ってきてくれたの?)
「それではワタシはもう行きます」
セシルが踵を返して戻ろうとする
ドアを開けて出ようとしたところで、あっと言ってまた私へと振り向く
「今日はありがとうございました!アナタのおかげで皆沢山笑っていた」
『そ、それはセシルが頑張ってたからだと思うけど』
「そんなことはないです。アナタがいてくれたからワタシも頑張れました。また一緒に出来たらいいですね。また会いましょう」
またにこっと無垢な笑みを見せて、セシルは私の楽屋を後にした
『……』
セシルは異国の地から来た
だから日本語はあまり上手ではない
(台本…あんなスラスラ読めるようになる為に本当は裏で沢山勉強して頑張っているんだろうな
王子の道楽だなんて、とんでもなかった
道楽ならあんなに頑張れない
あんなに努力してない)
『"また会いましょう"…か。また会えるかな、会いたいな…』
手のひらの上に乗った緑色の少し歪な鶴を見つめながら、じわじわと胸が熱くなっていくのを感じた
------
セシルの言葉遣い難しかった!!
片言だけど、漢字で話せたりカタカナだったり平仮名だったりするから一応Twitterのセシルの発言など見ながら書いたのですが間違ってるところあるかもしれません。
ただ有名なアイドルではなくて、セシルのような真心あるファンを楽しませようとしてくれるアイドルの方がずっと素敵だなと思って書きました。
シャイニーはそれを気づかせるためにわざと組ませたわけです(裏話
2014/6/11
それもただのアイドルではなくて、誰もが私の春歌を知っていると言えるくらいの有名なスーパーアイドルになるのが私の夢
今はようやくそのアイドルへの第1歩を踏み出せたところ
シャイニング事務所のシャイニー社長に認めて貰えて、新人アイドルとして売り出し始めている真っ最中
売り込む為にどんな仕事でも引き受けて頑張ります!!
(……って確かに言ったけど
よりによってなんで愛島セシルと一緒にバラエティをやることに…)
「春歌、一緒に仕事が出来て嬉しいです。よろしくお願いします」
(なんで…)
正直、愛島セシルは苦手だ
聞けばアグナパレスという国の本物の王子様らしい
本物の王子様がわざわざ日本に来て、なんでアイドルやってるの?
道楽のつもり?
私は本気なのに……社長も私が苦手だって分かっててわざと組ませたわね
社長が気付いてないはずないもの
『こちらこそよろしく!私も一緒に仕事出来て嬉しいわ!』
営業用スマイルでニコッと笑った
例え苦手な人が仕事仲間になっても顔に出してはいけない
アイドルは評判も大事。仕事だって評判を聞いて入ってくる
決していつ何時も気を抜いてはいけない
完璧な笑顔のはずだった
「疲れているのですか?」
『え…』
「目が笑っていない、カミュと同じ」
とびきりの営業スマイルに返ってきたのは予想外の言葉だった
(カミュと同じって…あのカミュ先輩のこと?コイツ先輩を呼び捨てにしてんの?ううん、それより…)
目が笑ってない、なんて初めて言われた
いつも皆この笑顔を見せれば簡単に騙されて、私が好意を抱いてるって勘違いする人も多くて…
笑顔を作っとけば全て上手くいく
そんな風に思ってたのに……
「疲れてるのなら無理をしてはいけませんよ?」
『だ…大丈夫よ!』
「そうですか?では台本の読み合わせをしませんか」
『え…読み合わせって今から?』
「YES。少しでもお客さんに楽しんで貰えるように頑張りましょう」
『……』
お芝居と違って、バラエティはアドリブが多い
アドリブによってアイドルの素顔を見ることも出来るけど、大抵の場合は緊張して咄嗟に上手く言葉が出てこなくて失敗する
だが、バラエティはそんな失敗も許される
つまらなければカットされるだけだ
(もしかして会場にいるお客さんにもっと楽しんで貰えるように…?もう時間もそんなにないのに…?)
大抵皆、番組が始まるまでの時間はリラックスタイムやメイクを直したりに使う
私もこのくらいの時間にはいつも化粧や衣装の最終チェックをする
直前ギリギリまでお客さんを楽しませるために、と時間を割くアイドルは中々いない
(この人…私よりずっと真剣かもしれない)
*****
番組が終わって楽屋に戻る
(なんだろう、今日はいつもよりスラスラ言葉が出てきて順序よく進めていけた…途中で詰まることもなく時間配分もちゃんと出来た。台本の読み合わせしたから…?)
コンコンッー
ドアをノックして愛島セシルが入ってきた
「春歌」
『ちょ、ちょっと!返事する前に開けたらノックの意味ないでしょ!』
ノックの後間髪入れずに部屋に入ってきたことに驚いて、つい素が出てしまう
(あ、しまった…)
「Oh、そうでした。ごめんなさい」
セシルは私の態度を気にする様子もなく、素直にぺこりと頭を下げて謝った
(…調子狂うなぁ)
『な、何か御用ですか?』
「これをアナタに」
すっと差し出されたものを困惑しながらも受け取る
『……折り紙の鶴?』
「日本では千羽鶴を作って願い事をすると聞きました」
『? なんで私に?』
「春歌が元気になりますようにと願いを込めてみました。ワタシは鶴を折るのがあまり上手ではない。だから一羽しか折れませんでしたが、沢山気持ちを込めました」
『わ、私のために…?』
にこっと微笑むセシルの笑顔にじわりと胸が熱くなった
(今日初めて会った私を心配して…自分も番組が終わったばかりで疲れてるはずなのにわざわざ私の為に鶴を折って持ってきてくれたの?)
「それではワタシはもう行きます」
セシルが踵を返して戻ろうとする
ドアを開けて出ようとしたところで、あっと言ってまた私へと振り向く
「今日はありがとうございました!アナタのおかげで皆沢山笑っていた」
『そ、それはセシルが頑張ってたからだと思うけど』
「そんなことはないです。アナタがいてくれたからワタシも頑張れました。また一緒に出来たらいいですね。また会いましょう」
またにこっと無垢な笑みを見せて、セシルは私の楽屋を後にした
『……』
セシルは異国の地から来た
だから日本語はあまり上手ではない
(台本…あんなスラスラ読めるようになる為に本当は裏で沢山勉強して頑張っているんだろうな
王子の道楽だなんて、とんでもなかった
道楽ならあんなに頑張れない
あんなに努力してない)
『"また会いましょう"…か。また会えるかな、会いたいな…』
手のひらの上に乗った緑色の少し歪な鶴を見つめながら、じわじわと胸が熱くなっていくのを感じた
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セシルの言葉遣い難しかった!!
片言だけど、漢字で話せたりカタカナだったり平仮名だったりするから一応Twitterのセシルの発言など見ながら書いたのですが間違ってるところあるかもしれません。
ただ有名なアイドルではなくて、セシルのような真心あるファンを楽しませようとしてくれるアイドルの方がずっと素敵だなと思って書きました。
シャイニーはそれを気づかせるためにわざと組ませたわけです(裏話
2014/6/11
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