気持ちの境界線
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今日はここまで」
トレイン先生の号令で魔法史の授業が終わった
はぁ〜〜…眠い
魔法の歴史って面白い話もあるけど、どの魔法使いが何年に何を成したとかこの王様はどうだったとか言われてもピンと来ないなぁ
「ユウさん」
呼ばれて振り返ると教室の入り口に先輩が立っていた
『! ジェイド先輩…!
どうしたんですか、1年生の教室に』
「今日の授業はこれで終了ですので、良ければ一緒にお茶でも如何かと思いまして」
『わぁ、それは嬉しいです!丁度疲れて休憩を取ろうかなと思ってたので』
「それは良かった。用意は済んでおりますので、どうぞ私に付いてきて下さい」
『はい』
ジェイド先輩に促されて着いた先は、まさかのハーツラビュル寮の迷路と薔薇の庭だった
『えっなんで!?』
「おっ来たな!」
『トレイ先輩!それにリドル寮長まで!』
庭には既に、真っ白な汚れ1つない新品のようなテーブルクロスの上に
これでもかと山盛りに乗せられた苺のタルト、マフィンにチョコチップカップケーキ
注ぎ口が縦に3つも付いたティーポットの横には砂糖と蜂蜜も用意されている
「ユウ!この僕を待たせるだなんていい度胸がおありだね!?」
『ま、待ってください!
リドル寮長にトレイ先輩も一緒にお茶するとは聞いてなくて…ジェイド先輩!?』
ど、どういうこと?
「実は先日、トレイさんと偶然お話する機会がありまして…
彼は私の出身地にしか無いとされる珍しい塩を御所望だったようで、これまた 偶 然 持っていたので差し上げたんです」
『……はあ』
そんな偶然ある??
「代わりに彼はケーキ作りが得意とお伺いしましたので、作り方を教えて頂いたのです」
『えっじゃあこのケーキ…!』
「僭越ながら私が作らせて頂きました」
『えええっすっごーい!!』
「教えた事をすぐに吸収して出来るから俺も教え甲斐があったよ」
「恐縮です」
これをジェイド先輩が…?
凄い…めちゃくちゃ美味しそう…!
「ふふ…そんなに目をキラキラさせて。女性は甘い物に目が無いというのは本当だったようですね」
『だってお茶しようと言われてこんな美味しそうなデザートまで出てくるなんて思ってなかったですよ!』
「お気に召しましたか?」
『とっても!!』
「それは良かった」
先輩がニコッと微笑む
私が喜ぶと思ってわざわざトレイ先輩に聞いて作ってくれたの…?
その笑顔に少し胸がときめいた
『あれっじゃあリドル寮長はなんで?』
「僕が居たらいけないのかい」
『あっいえ!そういう意味じゃ…』
「リドルは苺タルトが好物なんだ」
「トレイ!!」
「ははっ別にいいじゃないか。
次のなんでもない日のお茶会までまだ結構あるからな」
リドル寮長は頬を少し赤らめて軽く咳払いをした
「…お茶会と言えばハーツラビュルだろう。ハートの女王の法律には他寮とお茶会をしてはいけないというルールは無いし、折角だから僕自らお茶会とは何たるかを教えてあげてもいいと思ってね」
『ふふ、ありがとうございます』
色々言い訳してるけど、リドル寮長も甘い物には目が無いんだな
「それでは、こちらにどうぞ」
『あっありがとうございます』
ジェイド先輩が軽く椅子を引いて座らせてくれる
「では…」
『あっ待って!ねぇ、リドル寮長』
「なんだい」
『今日のお茶会も、なんでもない日のお茶会になるかな?
私ハーツラビュル寮生じゃないけど、一度やってみたかったんだ〜!』
「フラミンゴのクロッケーが無いけれど…、この中にいる誰も今日誕生日でないのならなんでもない日と認めてもいいだろう」
「リドルと俺は違うな」
「私も今日ではありません」
『やった!じゃあ私が言ってもいい?』
「仕方ないね、今日だけ特別だよ。
但し!お茶会が終わったら必ず歯磨きを3回以上すること!
ハーツラビュル寮生でなくてもハートの女王の法律は守って貰うよ」
『分かりました!それでは…
なんでもない日おめでとーうっ!!』
「「「おめでとう」」」
その後、
リドル寮長からハートの女王がいかに偉業を成した人物かをたっぷり聞かされ
本日2度目の魔法史の授業を受けてるようだったけれど
甘くて美味しいお菓子をほうばり、心安らぐカモミールティーを飲みながら楽しいアフタヌーンを過ごせた